奇術師の死闘 11
作:Gahal様


 ロビーに戻った白馬は、まずエレベーターの所へむかった。
しかし、エレベーターはまだ動かなかった。
警備員室のカギも開いておらず、八方ふさがりになった白馬だが、その目にある物が飛び込んできた。
ロビー中央にある受付台にコンピューターがあったのだ。コンピューターの電源は入っており、カードリーダーが接続されていた。

白馬がそのコンピューターを操作すると画面に、
Insert the Security Card… (セキュリティカードを入れてください。)
の文字が表示された。

白馬はさっき動力室下層で見つけたカードをカードリーダーに挿入してみた。

すると、しばらくしてから警備員室のほうからカチャッ!と音が聞こえ、画面に、
Verified…The door unlocked!! (パスワード確認、ドアロックを解除しました。)
と表示された。警備員室のロックが解除されたのだ。

 警備員室の中は部屋全体が監視モニターで埋め尽くされていた。
しかしそれらのモニターはすべて消えていた。
また、この部屋にも動力室と同様に下へ行くためのハシゴが設置されていた。

白馬はそのハシゴを下りてみた。
するとそのハシゴは、ベッドがたくさん並んだ部屋へとつながった。
おそらくここは、警備員が仮眠をとるための部屋なのだろう。
だが、警備員の姿は全くない。

この部屋(仮眠室)にもドアが1つついており、その横の壁にフックのようなものがついていて、そこにカギが1本ぶら下がっていた。
そのカギにはキーホルダーといっしょに"エレベーター制御室"とかかれたフダもついていた。

 白馬はそのカギを持ち、ドアを開けて廊下に出た。
廊下はドアから見て左の方向だけに伸びており、その方向に進んでいくと、左側の壁にドアがあった。

ドアには"龍の間"とあった。

さらにその少し先に"虎の間"もあったが、どちらもカギがかかっており、入ることが出来なかった。

とりあえずエレベーターを動かすために、白馬は"エレベーター制御室"へ急いだ。


 廊下の突き当たりには鉄格子が入っており、その向こうにはエレベーターのドアが見えた。
その廊下の右側の壁に"エレベーター制御室"のドアがあった。

 白馬は制御室のカギを使い、制御室に入って制御盤を操作し、エレベーターへの通電を開始させた。
さらに、鉄格子の間からエレベーターの回数表示がついたのを確認し、仮眠室から警備員室へのハシゴを上った。





 そのころキッドは、まだ、"千枝の部屋がある廊下"にいた。

先に進もうと思っても突き当たりのドアは開かず。元来た道も再び電子ロックがかかってしまったのだ。
その廊下には千枝の部屋の他にまだ2つの部屋があった。

奥の"獅子の間"はロックがかかっているため入れなかったが手前の"狼の間"には入ることが出来た。

"狼の間"の中にあったのは狼の石像が4体だけだった。
そして部屋の4隅には何かが置かれていたらしい四角い跡がついていた。

キッドは4体の狼の像を4隅のその跡に合わせた。
すると、部屋の中央の床(30p×30pくらい)がせりあがり、50pくらいの高さになったところで止まり、上部のフタが2つに割れて開き、
中から六角形で表面に狼が彫られた銀製のメダルとカギが一本出てきた。

キッドはその2つを持ってその部屋を出た。
そしてそのカギで"獅子の間"のカギを開けようとしたが開かなかった。

キッド「あれぇ?おっかしーな。てっきりこの部屋のカギだと思ったんだけどな。」



 再びB3階に戻った白馬は、エレベーターに乗り、B4階へ降りていった。
そのドアが開いたとき、聞き慣れた声が聞こえてきた。

キッド「やっぱりこっちのカギだったか。」
エレベーターで下りてきた白馬、そしてその右斜め前のドアを開けて入ってきたキッドの2人が同時にB4階エレベーター前に着いたのだった。

白馬「キッド」
キッド「ん?ゲッ!!白馬。」
白馬「何ですかそのいやそうな顔は?せっかく助太刀にきてあげたというのに。」
キッド「あ、いや…。そ、それより中森警部は一緒じゃなかったのか?」
白馬「それが…」
白馬はキッドにことのあらましを説明した。そして2人は先へと進みながら話を続けた。

キッド「なるほど、じゃあ中森警部と北浦刑事はその"だれか"に連れていかれたかもしれないってわけか。」
白馬「ええ、ところで君の方はどうしたんですか?確かレッドと名乗る男と一緒だったんだろ?」
と言っている間に2人が歩いている廊下が行き止まりになった。

キッド「ん?」
その突き当たりの壁を調べていたキッドが何かに気づいた。

キッド「六角形のくぼみ…。」
その壁には六角形のくぼみが4つ並んでいたのだ。

キッドは、"狼の間"から持ってきたメダルを出し、そのくぼみに合わせてみた。
ぴったり同じ大きさだ。それを確認するとキッドはそのメダルを祖混みはめ込もうとした。しかし白馬がそれを止めた。

白馬「待った!!」
キッド「何だよ?」

すると白馬はキッドの問いにも答えずくぼみに指を差し込んでごそごそといじくり始めた。
そして数秒後、白馬はそのくぼみの中から何かをひっぱりだした。
それは少しさびたカギだった。さらによく見ると、残りの3つのくぼみの中にもカギらしきものが埋まっているのが見えた。
2人は手分けして残りの3つのカギを取り出した。

 それらのカギには根元の部分に動物の絵が彫られていた。"狼""龍""虎""ライオン"の4つだった。


キッド「俺が通ってきた廊下には"狼の間"と"獅子の間"があった。そかも"狼の間"にはこの狼のメダルがあった。てことは。」
白馬「どうやら間違いないようだ。さっき僕がエレベーター制御室に行ったときに通った廊下には"龍の間"と"虎の間"があったからね。」
キッド「先に進むには一旦引き返すしかないってことか。」
キッドは狼のメダルを、狼のカギが埋まっていたくぼみにはめながら言った。


2人は来た道を引き返し、エレベーター前で分かれた。

 白馬と別れ、キッドは再び一人になった。"獅子の間"へ向かう途中キッドが考えていたことはレッドのことだった。
この廊下は一本道、エレベーター前に出るドアもキッドが開けるまでカギがかかっていた。
キッド達が下りてきたらせん階段もB2階の電子ロックがふたたびかかってしまったらしく開けることが出来なかった。
廊下の途中に3つの部屋はあったけれど、レッドは千枝の部屋には来なかった。

"獅子の間"は今なおカギがかかっていて、そのカギはキッドが持っている、"狼の間"の方は開いていたが中には誰もいなかった。
戻ることも進むことも隠れることも出来ないはずなのである。

しかし、現にレッドの姿はない。

もしかしたらレッドは抜け道を知っていたのかもしれない。
キッドは一瞬そう考えたのだが、すぐに打ち消した。

『地下2階なんて俺は知らない』というレッドの言葉を信じるなら、地下2階よりさらに下にあるB4階のことなど知っているわけがないのだから。
しかし…もしそのレッドの言葉が嘘だったとしたら…。

 などと考えているうちにキッドは"獅子の間"の前に到着していた。
キッドは、ライオンが彫られたカギを使って中に入った。
ドアのすぐ横にライオンの石像があり、部屋の四方(東西南北)の壁には丸いくぼみがあった。
さらにライオンの石像がのっている台座には4枚の丸い鉄板がおいてあった。
また、床にはってあるじゅうたんには"NEWS"という文字が刺しゅうされていた。

キッド「なるほど…。」





 一方、白馬は"龍の間"に到着していた。
やはりこの部屋にも石像があった。左側の壁に龍の石像があった。
その目の部分に青と緑の石が入っており、その目線の先にある壁(右側の壁)には絵が一枚飾られていた。
その絵は『赤と青の瞳をもつ虎』だった。

白馬「虎…向こうの部屋が確か"虎の間"だったような。行ってみるか。」
白馬は一旦廊下に出て"虎の間"へ行った。今度は部屋の右側に虎の石像があり、その目には黄色と赤の石が入っていた。
またその目線の先の壁(左側の壁)には『黄金の左眼をもつ龍』の絵が掛かっていた。

白馬「・・・・・。」


<  中    略  >

 キッドが狼のメダルをはめた壁のところに再び2人が集まった。2人はそれぞれのカギが埋まっていたくぼみに残りの3枚のメダルをはめ込んだ。



ゴゴゴゴゴゴ…



4枚のメダルをはめ込まれた壁が轟音をたてながら上がっていった。
そして、その向こうに1本の廊下が出現した。その廊下をしばらく行くと、途中から道幅が少し広くなった。
さらに少し行ったところに石で出来たアーチがたっていた。そのアーチには『Heaven's Gate(天国の門)』と書かれていた。

 "天国の門"にさしかかったとき、キッドはふいに立ち止まり、ポケットから"守の父の手記"を取り出して調べ始めた。
そしてキッドの目があるフレーズの所で止まった。

『B4階の廊下をしばらく行くと"天国と地獄の廊下"という廊下にでるらしい。
その廊下は中枢部へと続く唯一の通路だが、どういう訳かいつもふさがっているという。
"天国の門"から入り、"地獄の門"から出るのだがそのすぐ先が行き止まりだというのである。』

キッド「そうか、ここが"天国と地獄の廊下"か。」
白馬「キッド、何をやってるんですか。」
すでに"天国の門"をくぐっていた白馬が振り返ってキッドを呼んだ。

キッド「ああ、今行く」
キッドも"天国の門"をくぐり、白馬に追いついた。2人は並んで進んでいった。



 "天国と地獄の廊下"の両側の壁には、太陽の絵、アルプスのような山の絵、人々の日常生活を描いた絵、深海の絵、マグマの絵、虹の絵、
花畑の絵、SF世界のような絵、砂漠とピラミッドの絵、満月の絵、の10枚の絵が飾ってあった。



その少し先に"天国の門"によく似た石のアーチがたっていた。

『Hell's Gate(地獄の門)』とそのアーチに書かれていた。


そしてその先5メートルほどで手記にあったとおり行き止まりになっていた。
まず、"地獄の門"に先についたのは白馬であった。
キッドは守の父の手記を読みながら歩いていたので、白馬から約10メートルほど遅れていたのだ。
遅れているキッドの方を振り返りながら白馬は"地獄の門"から1歩足を踏み出した。


その瞬間…

白馬の足下の床が突然2つに割れ、ちょうどその上に足をのせた白馬は逃げるまもなく突然開いた穴の底へ落ちていってしまった。
床が割れたのが地獄の門からその先の行き止まりまでの床だったため、白馬から10メートル遅れていたキッドは落ちずにすんだ。

しかしその直後、"地獄の門"少し手前の壁、天井、床からおびただしい数のヤリが次々飛び出してきた。
しかもそのヤリは、順番に手前の方からも生えてつづけていた。
キッドは一目散に振り返って"天国の門"めがけてダッシュした。

直後、キッドがたっていたあたりの壁、天井、床からもヤリが一斉に生えた。
キッドが走っているすぐ後ろから次々ヤリが生えてくる。しかもそのスピードはキッドの足よりやや速かった。
あと5メートル、ギリギリの所でヤリが追いついた。
キッドは思いっきり地面を蹴り、天国の門めがけてスライディングした。
間一髪、キッドの身体は "天国の門"を通過した。

その瞬間、壁、天井、床から生えていたヤリはすべて引っ込んだ。
さらに2つに割れた床も元通りになった。

キッド「ハァッ!! ハァッ!! ハァッ…何なんだよ、この廊下は!!」
キッドは呆然と"天国の門"の先に見えている廊下をみてつぶやいた。そして、床の穴に落ちていった白馬のことを思い出し、叫んだ。
キッド「白馬ぁ〜〜〜、白馬ぁ〜〜〜、白馬ぁ〜〜〜」
しかし、キッドの声がこだましただけで、白馬からの返事はなかった。その時、キッドの目にあるものが飛び込んできた。
絵だ。廊下に飾ってある10枚の絵。

キッド「まさか、あの絵に何かあるのか?」

キッドは早速10枚の絵を調べに行こうとした。が…、どうしても足を一歩踏み出すことが出来なかった。
またヤリが生えてくるかもしれない、と思ったのである。キッドは勇気を振り絞って右足をあげた。
それを徐々に前にだし…そしておそるおそるその足を地面につけた。
(そして5メートルほど猛ダッシュで逃げた)

しかしヤリは生えてこなかった。どうやら条件を満たさない物が"地獄の門"を越えたときのみ床が割れたりヤリが生えたりするようである。
ほ〜っと一息ついたあとキッドはすぐに一番手前にある絵の所へ向かった。
別にごく普通の絵のように見えたが、キッドが絵に手を触れたときその絵がへこんだ。

へこんだ?いや違った。

へこんだのではなく壁に押し込むことが出来るようだ。しかも絵を押し込むことによって何かのスイッチが入るようだった。
キッドはすぐに他の絵についても調べてみた。するとすべての絵がスイッチになっていることが判明した。

キッド「・・・・・」
この絵をどうすれば先へ進めるのか、どの絵をどの順番で操作するのか、キッドにはまだ分からなかった。


第12章へつづく

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<あとがき>
久しぶりのあとがきです。11章も何とか完成し、12章ではB5階へ突入します。
この章を読んで一番驚かれたことは、白馬が落っこちたことよりも、廊下からヤリが生えてきたことよりも、
途中にある謎の<中略>という文字だと思います。
ところで、
(1)キッドが獅子のメダルを入手した方法
(2)白馬が2枚のメダルを入手した方法
(3)天国と地獄の廊下を通過する方法
はおわかりになったでしょうか?
<中略>の部分にはこのうちの(1)と(2)の答えが書いてあるのです。
この省略した部分は12章と一緒にアップします(あっきーさん、よろしくおねがいします)
皆さんぜひ推理してみて下さい。

Gahal様の新作マジック快斗小説!!
な・・・・・にゃんと!
メダル(笑)まさしくバイオハザード(笑)映画も見てきました←何
そしてさりげなくクイズになってます!!!
みなさんは判りました???
獅子のメダルの入手は・・・・・これは簡単!!(にやり)ここに書いていいのかな?NEWSの意味が判ればクリアーかな♪
白馬が2枚のメダルを入手・・・これは貼られていた絵の通り・・・ってここで言うとまずい??(笑)
そして3つめの廊下をクリアーする条件。これは難しいかも(え?私だけ??)
がんばって推理してみてね〜(うちも負けへんで〜)←?(笑)byあっきー

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