奇術師の死闘 2
作:Gahal様

1月1日午前4時

キッドが乗り込んだ貨物機は北海道・新千登瀬空港へ到着した。
その時空港には、中森から連絡を受けた北海道警の警官たちによってすでに閉鎖されていた。
指揮をとっているのは、家がたまたま近かっただけという道警本部の北浦刑事である。

北浦「たった今到着した貨物機に怪盗キッドが乗り込んだと見られる。絶対に逃がすな!!」
警官たちは一斉に貨物機に向かっていった。

ボン!!
貨物機の中から大量のピンクのもやが噴出してきた。

北浦「慌てるな。た、ただの目くらましだ!!」
しかしこのときキッドはすでに警官になりすまして突入してきた警官の中に紛れ込んでいた。
そしてピンクのもやが晴れたとき、中にキッドの姿はなかった。

北浦「い、いない!?捜せ、空港内をくまなく捜せ!!」
警官たち「はっ」
警官たちはすぐに散り散りになった。
そのどさくさにまぎれてキッドは空港から抜け出した。



午前7時

トミノ高原スキー場にあるトミノ高原リゾートホテルの入り口のところに白馬と青子の姿があった。
2人は初日の出を見に行った帰りだったのだ。

青子「あ〜おなかすいた〜」
白馬「そうですね、それでは朝食にしましょうか。」
ホテルに到着した2人は部屋には戻らず、レストランへと直行した。
朝食はバイキングになっていた。
2人は各自好きなものを皿に取り席について食事をはじめた。

青子「おいしい」
白馬「そうですね」
青子「快斗も来れればよかったのに…」
白馬「し、仕方なかったんですよ、飛行機は満席でしたし、部屋だって2人分しか取れませんでしたし…そ、それより
食事が終わったら早速スキーを始めましょう。」
青子「うん」

同じ頃、快斗はキッドの衣装を脱ぎ、空港から電車で札幌駅に着いたところだった。
トミノ高原へ行くにはここで北海道本線に乗り換え、さらにトミノ駅からトミノ高原鉄道に乗り、トミノ高原駅まで
いかなければならないのである。

快斗「ゲッ、次の電車まで40分もあるのかよ。」
時刻表を見た快斗はゲンナリしながらつぶやいた。
快斗「あー腹減った。しゃーねー、朝メシは駅弁にすっか。」
雪の中、快斗は食事をしながらひたすら電車が到着するのを待った。


40分後…

構内アナウンス「先ほど午前7時30分ごろY駅付近の鉄橋がなだれにより崩落しました。このため北海道本線は終日運休となりました。
繰り返します…」
快斗「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」

構内アナウンス「なお、午前8時より1時間間隔でトミノ駅行き臨時バスを運行いたします。
北口から発車となりますのでどうぞご利用ください。お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけします。」
放送終了とほぼ同時に快斗は改札口へと向かった。

改札口に着くと、駅員がハンドマイクを使って乗客に呼びかけていた。
駅員「トミノ行きのバスをご利用のお客様はこちらにお並びください。」
乗客は駅員のいる改札のところに並んでいた。そして電車の乗車の確認とともに臨時バスの無料乗車券を配っていた。
快斗もその列に並んで改札の外へと出た。
出たところに設置されていた時計を見るとすでに7時55分になっていた。

快斗「やべ〜」
快斗は一目散に北口バスのりばへと走った。
しばらく走ってると、正面にバスが停まっているのが見えた。北口まであと100メートルほどとなった。
快斗「なんとか間に合ったみてーだ。」
快斗はバスめがけて全力疾走した。

ちょうどその時、同じ札幌駅の別の通路を走っている少女がいた。
その通路は、今快斗が走っている通路と交わっており、少女はまもなくその交点にさしかかる所だった。

ドン!!

快斗とあの少女が衝突したのだ。
快斗はバスめがけて一目散に、少女はややうつむきながら走っていたために、ぶつかってしまったのだ。
しかもこのとき、快斗のポケットからこぼれ出たエンシェントブルーが、たまたま少し口が開いていた少女のバッグの中に入ってしまった。
しかし、快斗も少女も急いでいたためにこのことに気がついていなかった。

快斗「いって〜」
少女「すみません」
快斗「いえ、こちらこそ。ケガ、ありませんか?」
少女「ええ。あの、私急いでいるんで失礼します。」
少女はそのまま走り去っていった。
快斗も、バスのりばまで走っていった。
バスのりばには、同じくトミノ行きバスを利用する人々で長蛇の列ができていた。
8時のバスも超満員で出発した。

快斗はここでさらに1時間待たされるはめになった。
その間にも雪はどんどん強くなっていった。



午前8時30分

そのエンシェントブルーに付けられた発信機の信号を追って、朝一番の便で東京を発った中森警部が新千登瀬空港に到着した。
空港には道警から北浦刑事が迎えにきていた。
中森は、北浦刑事の顔を知らなかったのだが、空港の正面にパトカーが一台停まっていたので、すぐに分かった。
中森はパトカーの側に立っていた北浦刑事に挨拶をした。

中森「どうも、警視庁捜査二課の中森です。」
北浦は敬礼をしながら応えた。
北浦「私、北海道警の北浦です。」
中森「わざわざすみませんね。」
北浦「いえ」
中森「それでは、捜査協力の方よろしくお願いします。」
北浦「はい。よろこんでご協力します。」
2人はパトカーに乗って札幌方面へと走り出した。

雪は一段とその勢いを増し、積雪も1メートルを越えた。
この雪はさらに勢いを増し、この日の夕方には北海道全域に大雪警報が発令し、鉄道は全線運休と鳴り、空と海の便はすべて欠航となる。


札幌市郊外に古ぼけた雑居ビルが一軒建っていた。
このビルは、以前入っていた会社が倒産して以来人の近づかない無人ビルとなっていた。
はずだった。

その無人ビルに一人の男が入っていった。
その男はビルの中のある部屋に入った。
その部屋にはすでに別の男がすわっていた。
中にいた男が入ってきた男に向かって言った。

中にいた男「久しぶりだな、5648。今日は何のようだ?」
5648「別にこれといって用はない。お前が指揮をとっているP作戦の状況を見に来ただけだ。」
中にいた男「順調だよ。数日前に優秀な戦士も手に入ったことだし。」
5648「優秀な戦士?」
中にいた男「ああ、紹介しよう。この8982直属の2人を。来い、レッド、ブルー」
すると部屋に2人の人物が入ってきた。

8982「元気そうだなレッド。体の調子はどうだ?」
レッド「ああ、完璧だ。」
レッド、そう呼ばれたのは。40歳くらいの男性。身長は190cmくらい。筋肉質で鍛えられた体だ。
8982「どうだブルー?準備は整ったのか?」
ブルー「はい。すでに準備は完了しています。」
ブルー、そうよばれたのは札幌駅で快斗とぶつかったあの少女だった。

8982「そうか。では作戦決行は明日、1月2日。場所はトミノ高原リゾートホテルだ。かねてからの予定通り決行する。」
レッド・ブルー「了解」
それから8982は5648の方に向き直っていった。

8982「心配ない。必ず成功させるさ。」
5648「ああ。我らの最終計画のためにな。」



第3章へ続く

Gahal様の新作マジック快斗小説!!
ぬわぁにぃぃぃ!!・・・あの快斗とぶつかった女の子・・・・・・・・敵?!
し・・しかも盗んだ宝石が敵に・・・・・・・・ど・・・どうなるんだろ・・・最終計画ってのが気になるかも。
しかも狙われてるのが白馬と青子ちゃんのいるリゾートホテル・・・・・予測不可(爆)byあっきー

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