奇術師の死闘 4
作:Gahal様

1月2日午後1時過ぎ
何者かによってトミノ高原リゾートホテルの新館と本館を結ぶ連絡橋が爆破。
破壊された。これにより、ホテル内は騒然となった。
新館にいた客たちは怒号や悲鳴をあげながら逃げ惑い、非常口へと殺到した。
しかし、先ほどの爆発でおきたなだれで非常口のある1階は完全に雪に埋まっていた。


本館では…Mr.childのコンサートが行われるはずだった2階大ホールに全ての客と従業員、警備員が集められていた。
青子も少女(ブルー)につかまり、このホールに閉じ込められた。
この大ホールには非常口も含め、出入り口は5ヶ所についているが、4ヶ所はふさがれていた。

テロリストは2人、ブルーとよばれる少女とレッドという大男の2人だけだった。
ブルーは拳銃、レッドはマシンガンを持ち、それを使って人質を集めたのだ。



その頃…白馬は1階へと階段を駆け下りていた。
しかし非常口は全てふさがっており、外には出られなかった。
仕方なく白馬は2階へあがり、窓から外に出ようと考えた。
2階の廊下も避難しようと集まっていた宿泊客であふれかえっていたが白馬は何とか本館に一番近い窓の方へと進んでいった。
しかしこのホテルの窓はどの窓も10センチほどしか開かないようになっていた。
白馬は廊下に設置されている非常用のケースをあけ中から斧を取り出し、窓へと駆け寄った。

白馬「危ないですからこの窓から離れてください。」
客を下がらせてから斧を窓に向かって振り下ろした。

ガン!!

斧は鈍い音をたててはね返された。
このホテルのガラスは大地震や突風にも耐えられるよう硬質ガラスでつくられているため、何度斧を振り下ろしてもヒビが入るだけで
全く割れる気配はなかった。

青子たち人質のまえでレッドは何かを組み立て始めた。それは大き目のパソコンのように見えた。
全体的に黒く、テレビモニターのようなものやアンテナなどもあった。

その間ブルーはぼーっと窓の外を眺めていた。なにかを考えているようだった。
その姿は青子にはとても悲しそうに見えた。
ブルーは小声でそっとつぶやいた。

ブルー「待っててね守、もうすぐだからね。」





その頃快斗はホテルから約30メートルさがったところで雪から這い出た。

快斗「ぷはーっ、あー死ぬかと思った。何が起こったんだ?一体。」
この時、快斗はなにげなくポケットに手を突っ込み、あることに気がついた。

快斗「あれ?ない、エンシェントブルーがないぞ!!」
あるはずがなかった…札幌駅でぶつかった少女の荷物に入ってしまったのだから。
快斗は今日までの行動を良く思い出した。そして、
快斗「あの娘か…札幌駅でぶつかったときあの娘の荷物に入っちまったんだ。」

ブルーはかばんから青いブローチを取り出し、それを2つに開いて中の写真を見た。
それは彼女がまだ小学生のころ、いまから4年前に守と一緒に写した写真だった。

そのときブルーはカバンに何か入っているのを見つけた。それは自分の青いブローチに良く似た宝石――エンシェントブルー――だった。
ブルー「何でこんなものが…?」

ピーピーピーピーピーピー・・・

突然レッドの腰についている無線機のようなものが鳴った。
レッドがそれを手に取りスイッチを押すと電子音が止まり、代わりに男の声が聞こえてきた。

声「例のものの準備はできたか?」
レッド「はい」
声「ではそれをもってステージ左のドアから入り突き当りを右へさらに突き当たりの左側のへやへ行け。」
レッドは声に従い、組み立てた機械を持ってステージ左のドアへと入っていった。

レッド「着きました。」
声「その部屋にはそのホテルのメインコンピュータがあるはず…どうだ、間違いないか?」
レッド「はい、間違いありません。コンピュータがたくさん並んでますから。」
声「その部屋に1台だけ他のものに比べて飛びぬけて大きなコンピュータがある。それに例の物を接続しろ。」
レッド「はい。」
レッドは先ほど組み立てた機械とメインコンピュータの接続作業を始めた。



バリバリバリ…ガシャン

白馬は何とか窓ガラスを破った。
白馬「危険ですのでそこでしばらく待っていてください。」
そういって白馬は2階の窓から外へ飛び出した。

快斗は何とか雪の上を這ってホテルの前まで到着した。
快斗「変だな?何で誰も外に避難していないんだ?」
そのときだった。

中森「どこだ〜キッド〜!!」
ホテルに一台のパトカーが走ってきた。
快斗「や、やべ〜警部だ。」
快斗はそそくさとホテルの影に隠れた。
快斗「あ、キッドになってないのに反射的に隠れちまった。」
そして中森の乗ったパトカーはホテル正面に停止した。
そこに白馬が駆け寄ってきた。

白馬「中森警部〜」
中森「お、お前は!!」
白馬「早かったですね。まだ通報から15分くらいしか経ってないのに」
中森「通報?なんのことだ?オレはキッドが盗んでいったエンシェントブルーの発信機を追ってきただけだが…。」
快斗「このホテルにエンシェントブルーがある?ってことはあの娘がこのホテルにいるってことか?」
ホテルの陰に隠れていた快斗がつぶやいた。その直後、白馬の口からとんでもない事実が語られた。

白馬「約15分前、このホテルの本館と新館をつなぐ連絡通路が何者かに爆破されました。それで…黒羽君が転落しました。」
中森「何だって?快斗君が!!」
白馬「ええ。それと…青子さんが犯人と思われる少女につかまりました。」
中森「何!!青子が?お前青子がつかまったのに黙ってみていたのか?」
白馬「すみません、その時青子さんは本館側、僕は新館側にいたのでどうすることもできなかったんです。」


快斗もそのやりとりを聞いていた。
快斗「青子が少女に捕まった?少女?もしかしてあの娘か?」
そして快斗はホテル本館を見上げた。

快斗「待ってろ青子、すぐに助けだしてやるからな。この…」
快斗はすばやく怪盗キッドに変身して言った。

キッド「…怪盗キッドが!!」





第5章へつづく

Gahal様の新作マジック快斗小説!!
うわぁ〜キッドさまぁぁっ(爆)
しかし・・・白馬って抜け目がないというか・・・(苦笑)
これでカードは揃った・・・ってとこなんでしょうか???
いよいよキッドが活躍するところが見れる(と思う)!!!!(笑)byあっきー

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