奇術師の死闘 8
作:Gahal様

ようやくパソコンが起動した。
キッドはすぐにメールやファイル、いろいろな履歴などを調べ始めた。

「5Fコンピュータ室、セキュリティコンピュータ起動確認」
8982のいる部屋に機械の女性声でそうアナウンスが流れた。

8982「どうやら久々のお客様らしいな。」
8982がいる部屋は、狭く、椅子が一脚あるのと、100インチのプラズマディスプレイがあるだけの部屋だった。
8982はニッと笑うと椅子の肘かけ部分についているボタンの一つを押した。すると、モニターに5階コンピュータ室の映像が映し出された。
8982「なるほど、裏切り者のレッド、それに怪盗キッドか。だが果たして私のところまでたどり着けるかな?」



キッド「ん?これは?地下2階?このビル地下2階があるぞ。」
キッドが見たのは地下2階への電子ロックを解除するコンピュータの画面だった。

レッド「地下2階だと?知らなかった。」
キッド「地下1階に隠し扉があって、その先に下へ降りる何かがあるんだ。
でも…電子ロックがかかってる。解除するにはユーザー名とパスワードがいる。知らねえか?」
レッド「知らない。」
キッド「そうか。ん?」
レッド「どうした?」
キッドがユーザー名の枠をダブルクリックした時だった。

キッド「しめた。オートコンプリートで残ってやがる。」
レッド「オートコンプリート?」
キッド「オートコンプリートを使うとインターネットのアドレスやパスワードなんかを一度入力するだけで記憶できる…
まあわかりやすくいえば一度入れたデータを保存しておく機能だ。」
レッド「なるほど」
キッドはさらに操作を続けた。すると、画面に"電子ロックを解除しました"とメッセージが表示された。
キッド「マジかよ?まあとにかく先に進みますか。」
2人は再びエレベーターで地下1階へとおりた。


キッド「別に…さっきとどこも変わってねえな。どっから降りればいいんだ?」
レッド「エレベーターは…上にしか行かないか。」
キッド「ああ、呼び出しボタンが上しかない…もっとよく調べる必要がありそうだな。」
キッド「ああ」
2人は再び地下1階を調べ始めた。




白馬「どうやら、ここのようですね。」
中森「ああ」
中森たちが雑居ビル前に到着した。

北浦「と、突入しますか?」
中森「ああ、もちろんだ。」
白馬「行きましょう。」
中森「よし、全員ここで待機だ。」
部下の警官を止めた後、3人は雑居ビルに突入した。


タッタッタッ…

誰もいない廊下に3人の足音がこだました。
先頭を行く白馬の目に緑色の光が届いた。

白馬「あそこに何かあります。」
白馬はその光の方向を指さした。と同時に3人はその光にむかって走り出した。
その光は、エレベーターが登りだということを表す上向き三角マークの光だった。
エレベーターはB1階に止まっていた。

中森「エレベーター」
北浦「地下1階にキッドが?」
白馬「行ってみましょう」
といって白馬は下りエレベーター呼び出しボタン(下向き三角)を押した。


ウィ〜〜ン


地下1階を探索していたキッドとレッドの耳に突如モーター音が飛び込んできた。
キッドはすぐにエレベーター前に走った。
半透明の窓を通して上っていくエレベーターが見えた。

キッド「エレベーターが…」
そのとき、チンという音がして、エレベーターが1階に止まった。

白馬「行きましょう。」
白馬たち3人は到着したエレベーターに乗り、B1階のボタンと閉まるボタンを押した。
すぐにドアがしまり、エレベーターは下降を始めた。

キッド「1階に止まった。いったい誰が?ん?」
半透明の窓をとおして、エレベーター部の内側が見えた。
エレベーターが停止していた状態では見えなかったその下側にまだ空間があったのだ。つまり、まだ下に階があるということだ。
キッド「まだ下に階があるのにエレベーターでは下に行けない…そうか!!」
キッドは配電室へ走り、エレベーターの電源だけを落とした。

と同時に白馬たちの乗ったエレベーターが1階と地下1階の間の中途半端な所で停止した。ドアも開かず、電灯も消えた。
白馬「え?」
中森「どうした?」
北浦「て、停電ですか?」
中森「ど、どうするんだ?これじゃキッドを追えないぞ。」
白馬「しかたありません。下はあきらめてまず上から捜索してみましょう。確か5階まであったはずですからね。」
北浦「で、でもどうやってこのエレベーターから出るんですか?」
白馬「大丈夫、天井から上に出られますから。それに停電中なら手動でドアも開くはずです。さあ、行きましょう。」



同じ頃、地下1階のエレベーター前にキッドとレッドが集まっていた。
キッド「電源を落としてきた。さっきみたいにドアを開けてくれ。地下2階への扉はその中だ。」

レッド「うぬぉおおおおおおお」
レッドが再び渾身の力でドアをこじ開けた。
キッド「行くぞ。」
キッドは地下2階への暗い穴へと飛び込んだ。
レッドもその後に続いた。

しばらく降下を続けていた2人の体は、やがてB2階の地面に着地…というより激突した。
キッド「いってー、だ、大丈夫か?レッド。」
レッド「あ、ああ」
キッド「ん?」
レッド「どうした?」
キッド「ドアだ。」

そのドアは明らかにエレベーターの扉ではなく、一見するとどこにでもあるようなドアノブをまわして開けるタイプのドアのようだった。
しかし、普通に見えたそのドアだったがノブはなく、代わりに液晶モニターがついていた。



Unlooked… Press the Button…(ロック解除。ボタンを押してください。)



液晶モニターにはそう表示されていた。そして液晶モニターの下にはボタンが一つだけ付いていた。
キッド「なるほど、5階のパソコンで解除したのはこの電子ロックだったんだ。」


ピッ 

ガチャ


キッドがボタンを押すと同時にドアが開いた。その先にはさらに下へと降りるらせん階段が続いていた。

第9章へ


Gahal様の新作マジック快斗小説!!
いよいよ地下2階まで降りたキッドとレッド・・・・・・・でも怪しい・・・
わざと誘い込まれたような雰囲気が気になるとこ!!
下へ続くらせん階段を降りるとそこは・・・・・・・・・どぉぉぉ(叫)byあっきー

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