あなたには何ができるだろうか?

人は何かをするために生まれる

でも

意味も無く生まれたと思い込み

人は簡単に自分の生命を絶ってしまう

人は

本当に意味も無く生まれたのだろうか

私には

それがどうしても分からない・・・――――






聞こえる 〜怪盗との出会い〜
byみさき様

ここはとある町の一軒家。
その家のベランダに、二人の人の影がある。
一人は20代ほどの女性。もう一人は白い衣を身につけた男。
すると、女性が口を開いた。

「本当に・・・これが最後の怪盗業なのね・・・」

男はふっと笑って答えた。

「ああ。この仕事が終わったら、俺は怪盗を辞める。」

女性はその言葉を聞いて俯いた。

「青子は・・・怪盗をしている快斗が1番好きなのに・・・」

すると、快斗と呼ばれた男は青子というらしい女性に近づいた。

「バーロ。俺がキッドを辞めても、キッドはこの世から消えねーよ。いつだって、お前の傍にいるんだからな・・・・」

そう言って、快斗は青子にふっと微笑みかけると、ハングライダーを広げ、夜の闇へと飛び去っていった・・・・




『キリストの生まれた日 四方に散らばった奇跡の宝石のカケラは 我が手中にあり
 四日前には鳥の持つ宝   三日前には亀の持つ宝
 二日前には虎の持つ宝   前日には龍の持つ宝
 そしてキリストの生まれた夜  我が手により奇跡は起きる           怪盗キッド   』


・・・こんな謎めいた予告状が発見されたのは、キッドが黒羽家のベランダから飛び立ったほんの一時間後のことだった。









鐘が鳴る 鳩が飛び立つ

広場を埋めた群衆の叫びが聞こえる

歌を 歌をください




12月21日   〜戸村 千春の日記〜
今日もだ・・・
私はため息をついた。
もう、こんな生活に疲れていた。

私―― 中学1年生戸村千春がいじめられ始めてから、もうすぐ一年が経とうとしている。

いじめられている原因は・・・分からない。
ただ、特に理由は無いらしい。

クラスで唯一私と付き合ってくれる、親友のA子にはこう言われた。
『だって千春って、ノリ悪いんだもん。私はもともとノリ悪い子とでもけっこう気が合うタイプだからさ、
千春とも仲良くやってけるけど・・・他の人から見たら、けっこうむかつくんじゃないかなぁ?』
そんなこと言われたって、と私は思う。

私は私のやりたいことがやりたいの。

そりゃあ、周りから見たらわがままとか、自分勝手とか、ノリ悪いとか思われるかもしれないけど・・・
それでも、仲間はずれがいやでも、絶対に自分の思ったとおりにやりたいの。

それに、わたしにはA子もいる。別に調子に乗ってるわけじゃないんだけど、A子が居れば、仲間外れも怖くない!


・・・・・・・・・最初はそう思ってた・・・・・・・・・・・


でも、今日になって、A子の本性が分かった。
A子は、私と仲良くしてたわけじゃなかった。
他の人にさせられてたんだ・・・・

今日の放課後、真っ暗な学校に、私は忘れ物を取りに行った。
私達一年の教室は四階・・・・
すると、私のクラスの教室から明りが漏れていた。誰かが話す声が聞こえてきた。

私はこっそり教室を覗いた。

するとそこには、クラスのいじめっ達に囲まれたA子の姿があった。

「ま、あともうちょっと頑張んなさい。」

「ちょっと・・・いつまであんな奴と友達のフリしてなきゃいけないわけ?
こんなんじゃ私の体、千春菌だらけになっちゃうじゃん。これ以上は絶対やだね!」

それが我慢の限界だった。私はくるりと教室に背を向けると、屋上への階段を上っていった。

何で・・・何でこうなっちゃうのよ!!!
私は必死で屋上に向かった。



屋上は寒かった。
強い風が吹いている。

私は、屋上の端の方まで歩いていった。
下を見下ろすと、ずっと下に、うっすらと地面が見えた。

小鳥が地面の近くを低空飛行しているのが見えた
私も・・・小鳥みたいに自由に飛べたらいいのにな・・・


・・・・・・・・・私は足を前に踏み出した・・・・・・・・・・


そのとたん、私は後ろから誰かに両腕を掴まれた。
「いっ・・・ちょっ・・・ちょっと!離してよっ!」
私は自分の両腕を掴んでいる誰かの足を踏みつけようとした。でもその時、私の両腕を掴んでいる人が話し掛けてきた。
「そんなに怒ると、貴女の美しい顔が台無しですよ。お嬢さん?」
「へ?」
私は首を回して自分の両腕を掴んでいる人物を見た。

そこには、私の腕をしっかりとつかんでいる怪盗キッドの姿があった。
「・・・してよ・・・離してよっ!!!!!」
暴れる私をキッドが抑える。

キッドの力は見かけによらず強くて、私がどんなに暴れてもキッドから逃れることはできなかった。


20分後、屋上には暴れまくってクタクタに疲れてその場に座り込んでいる私と、私を真剣な眼差しで見つめるキッドがいた。
「何で・・・っ!何で邪魔するのっ!?」
私は座り込んだまま叫んだ。


こんな世界にいても何にもなんないのに・・・


この世界にいても私は何もできないのに・・・


すると、キッドが答えた。

「貴女が死ぬのを見たくなかったんですよ・・・」
「そんなの理由になってないわよっ!!!!」
私は目に涙を浮かべながら叫んだ。

「アンタは・・・私の気持ちも知らないくせにっ!」
すると、キッドの口から思いにもよらぬ言葉が出てきた。



「全て知っていますよ・・・・」



私はその場で動け無くなった。
「全て・・・って・・・」
「そうです。全てを知ってます。」
キッドは続けた。

「先ほどから、貴女の後をつけていたんですよ。そう・・・丁度貴女が校舎に入ったころから・・・」
私は驚いた。私は全然気付いていなかった。

「貴女がどんな思いをしていたかもよく分かります。自分が嫌になる気持ちもよく分かります。
それでも貴女は生きなければならないのです。何もせずに死んでいい人間など居ませんよ」
私は、その場で俯いてしまった。

すると、キッドが私の手をとり、その手に何かを乗せた。

私が見ると、そこには一枚の赤い紙と、二色の色の宝石があった。
(宝石は赤くて小さな宝石をもっと明るい赤の宝石で包んでそれを扇型に四つに切ったうちの一つのような感じになっていた)

「これは貴女に託しましょう。それでは、奇跡の夜をお楽しみに・・・」
そう言って、キッドは私の手を取り軽くキスをすると、ハングライダーを広げて夜の空へと飛んでいった。

「何だったの・・・・?」
そう呟くと私は、キッドに貰った紙を裏返した。すると、そこには文字が書かれていた。




 『貴女を奇跡の夜のマジックショーにご招待します。
東都タワー近くの廃ビルの屋上に12月24日PM11:00に、お渡しした宝石を持って来てください。』

「何よそれ・・・」
私はそう呟くと、キッドの渡してくれた宝石を見つめ、ふっと笑った。


もう少し待ってみよう・・・・と、私は思った。

もう少し生きてみよう・・・・
奇跡の夜に、あの白い天使が舞い降りるまで・・・・・・


私はそのあと、家へと帰った。
「はあ〜〜〜〜〜〜っ・・・・・疲れた〜・・・・・」
私は大きくため息をつくと、居間のソファにダイブした。
私は、テレビのアナウンスに耳を傾けてみた。


『え〜、今日夕方5時頃・・・米花中央美術館で、キッドに暁の宝珠が盗まれました。
キッドは先日、今日、明日、明後日、明々後日に何かを盗むらしい内容の予告状を出しており・・・・・・・』











陽が落ちる 油泥の渚

翼をなくした海鳥のうめきが聞こえる

空を 空をください




12月22日
僕――中一生・羽田裕紀――のクラスでは、いじめがあった。
別に僕がいじめられているわけじゃない。
ただ・・・いじめられているのが、僕の好きな人だったんだ。

そのこの名前は千春という。
千春は、僕の幼馴染だ。
前から千春は、そんなに人付き合いがいいわけではなかった。
それでも、男子とも、女子とも上手くいっていた。

でも、中学生になってから、その友達関係が崩れはじめた。
一人の二年生の先輩が、千春が気に食わないからといって、僕のクラスのクラスメートに嘘の噂を流し始めたんだ。


――――千春って、親が犯罪者なんだって・・・――――


僕は、その噂を聞いたとき、目の前が真っ暗になった。
千春の親は犯罪者なんかじゃない。それどころか、人に対してやさしくて、頼りになって、何にでも協力してくれるとてもいい親だと思う。
そんな人達を犯罪者だなんて・・・・・・

そして、その噂はクラス中に広まった。
その事を知らないのは千春だけだ。
皆は、何時しか千春を無視するようになった。そして本人は気付いていないけれど、千春の持ち物がたまに無くなるのは、
千春が無くしたからじゃなくて、本当は、先輩達とクラスのいじめっ子達が物をこっそり盗んでいるからなんだ。


僕は、本当は事実を言いたかったんだ。


―――――千春の親は犯罪者なんかじゃない!!!そんなのでたらめだ!!!!そんなの嘘だよ!!!!!――――――


でも、僕にはそれができなかった。
僕にできることといったら、盗まれた千春の物を、こっそり千春の机の中に戻しておくくらいだ。
でも、それでイジメがおさまるわけがなかったんだ・・・・


―――僕は・・・間違いを犯してしまったんだ・・・・・・―――


そんなある時、僕が部屋で勉強をしていると、ベランダの方でガタン!という大きな音が聞こえた。
僕は『泥棒だ』と思って音を立てずにベランダの窓に近づくと、窓を一気に開けた。
でも、そこに居たのは泥棒は泥棒でも――――怪盗キッドだった。


「かっ・・・かっ・・・かっ・・・・怪盗きっ・・・・・・」
『怪盗キッド!!!!!!?????』と叫びそうになった僕の口をキッドが慌ててふさぐ。

「しっ!静かに!誰かに見つかったらどうするんですか。ましてや先ほど仕事を終えたばかりであちこちで警官が動き回っているというのに・・・」
僕は『分かった分かった』と顔を縦に振って、ようやくキッドに解放してもらった。

「ぶはっ!でも・・・どうしてキッドがここに?」
僕は直球に疑問をぶつけた。

すると、キッドは
「これをあなたに渡すためですよ」
と言ってポケットから宝石(宝石は青くて小さな宝石を明るい赤の宝石で包んでそれを扇型に四つに切ったうちの一つのような
感じになっていた)と一枚の紙を取り出して、僕に手渡した。

「それでは、奇跡の夜をお楽しみに☆」
そう言ってまるでイタズラっぽい笑みをこぼした後、閃光弾(?)を地面に落とした。

カッ!

ちょっと目を離した隙に、キッドはどこかに消えてしまった。
僕はあたりを見回した後、キッドに手渡された紙を見た。

『貴方を奇跡の夜のマジックショーにご招待します。
東都タワー近くの廃ビルの屋上に12月24日PM11:00に、お渡しした宝石を持って来てください』

・・・と。
「な、中森警部!キッドの居たベランダに少年が!」
え?僕?

「おおい!君!怪我はないか!?」

・・・その後、その警部さん達にキッドについて質問攻めされたのは言うまでもない。






NEXT

たいっへん遅くなりましたっ!すみません;(土下座)

ええっと・・・ほとんどオリキャラしか出てません;
次の話もこれとほぼ同じパターンのやつです。

ちなみにこの小説の題名は私の音楽の教科書で見つけた歌の題名をとりました。途中にある詩のようなのもその歌の歌詞からとってます。
みさき様
素敵な小説ありがとうございます!!遅くなってすびばせん;;;
オリジナルキャラクターとてもいいですね♪キッドを通じて小説の中の伝えたい言葉が伝わってくるようです♪
是非是非次回作も読ませてください!!byあっきー

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