甘いブラック・ラヴⅤ

小さい頃の思い出は・・・

時に懐かしく

時に腹立たしく

心に蘇ることがある・・・

それは

時に恐ろしいことを招くきっかけとなる

そのスイッチとは、たくさんのスイッチの中に紛れ込んでいる・・・

そしてそのスイッチを押してしまうと・・・・・

人は　その大切な思い出を・・・

壊してしまう・・・・

そう、これは過去の大切な思い出を賭けた

白き堕天使との戦い・・・・・・

甘いブラック・ラヴⅤ～前編～

新一達は、米花町のはずれにある森の中を進んでいた。
この事件の犯人の家は、森に入ればすぐ見つかる・・・はずだった。

平次「なあ、工藤・・・・全然それらしきものがみつからへんのやけど・・・・」

新一「うっせーなぁ・・・俺も今そのことを考えてたんだよ！」

新一の声がイライラしていることに、３人（キッド、探、平次）は気づいていた。
おそらく、蘭が犯人に囚われたことでかなり焦っているのだろう。

新一（蘭は?!蘭は何処にいるんだ?!）

そうしているうちに、あたりはだんだん暗くなってきた。

キッド「おっ！アレじゃねーか？」

キッドが、ふるぼけた大きなお屋敷を見つけた。

新一達が屋敷に近づく。近づけば近づくほど、その屋敷がとても古い建物だということがわかる。

平次「おいおいおい・・・ホンマにここが犯人の住んどるところなんか？」

平次が首をかしげる。

探「そうなんでしょうね。他に建物は見当たりませんし。」

探があたりを見回しながら言った。

新一「とにかく、屋敷の中に入ってみようぜ。」

新一の言葉に皆が頷き、４人は玄関の方へと向かった。








―――米花総合病院―――

青子は悩んでいた。
ついさっき４人が話していた時の快斗の言葉が耳に残ったままだった。



『実は・・・・・俺・・・・・・怪盗キッドなんだ・・・』

『俺はキッドの二代目なんだよ』

『そ。俺の親父がキッドをはじめたんだ。どんな理由かはしらねーけどな・・・』

青子「快斗・・・・何で青子に教えてくれなかったの・・・・・・・・？快斗は・・・・そんなに青子が嫌いなの・・・・・・・・・・？」

一言一言呟くたびに、悲しみがどんどん溢れてくる。

青子「快斗は・・・・快斗は・・・・青子の事・・・・・・・・・・・」

その言葉を言い終わらないうちに、目にうかんでいた涙が頬をつたっていった。
青子の涙が枕に落ちる。
布にできた濡れ跡がゆっくりと広がっていくように、青子の悲しみも広がっていった。

青子「快斗・・・・・・・・・・・・」

青子はそのまま、静かに眠りに落ちていった。











―――屋敷前―――

キッド「んっ？おい！カギがかかってるぜ？」

キッドが扉の取っ手をひっぱりながら言った。
新一は扉をじっくりと観察しながら言った。

新一「人を自分の家に呼んどいて入れないようにしてるわけねーだろ？絶対に何か仕掛けがあるはずだぜ？」

そして扉のあちこちを調べていると、扉の下の方に何か見つけた。
小さな液晶パネルが付いていて、その下に０～９までの数字が並んでいる。
どうやらここから入るのにはパスワードが必要なようだ。

探「パスワード・・・・どうします？」

新一「・・・・・・・・・」

探「分からないんですか？」

新一「俺が分かってねえってわかってんだったら聞くなよ」

探「・・・・・・・・・・」

その時、キッドが言った。

キッド「そういや和葉ちゃんが言ってたよな？グリフィンからの手紙にｈｓｖって書いてあったって。それがヒントなんじゃねーか？」

それを聞いて平次がいった。

平次「せやたら、８１９２２でどうや？アルファベットの順番やと、ｈが８番目で、
ｓが１９番目で、ｖが２２番目やからこれなんとちゃうか？」

新一が『８１９２２』と入力する。しかし、液晶パネルには『パスワードガチガイマス』と表示された。

平次「なんや・・・違うんかいな」

平次がムスッとした。

探「まあまあ・・・誰だって推理が外れることはありますから・・・・」

探が平次をなだめる。
その間、新一は必死に考えをめぐらせていた。

新一（おそらく服部の推理は半分は正解なんだろう。問題はｈとｓとｖの意味だ・・・・）

新一「ああっ！くそぉっ！ぜんっぜん分かんねえ！ヒントが少なすぎるぜ！」

その時、キッドがポツリと呟いた。

キッド「こんな暗号よりも数学の問題を解く方がまだマシだな・・・・・」

その言葉を聞いて、新一はハッとした。

新一「まさか・・・・・・・」

キッドと探と平次が新一を見た。

平次「まさか・・・工藤・・・・分かったんかいな・・・」

新一がニヤっとする。

新一「ああ・・・・快斗（キッド）がヒントをくれたからな。」

キッド「へ？俺？」

キッドは唖然としている。新一が説明を始めた。

新一「まず、このアルファベットをどうすれば、数字に変えられるかだけど…これは多分服部の推理が正しいんだな。
残るはこのｈ、ｓ、vというアルファベットがどんなことを意味しているのか。」

新一は続ける。

新一「そこでキッドの言葉がヒントになったんだよ。」

キッド「お、俺の言葉？」

新一は一拍空けて言った。

新一「数学だよ。このｈ、ｓ、ｖは、数学を利用すれば簡単に解ける暗号なんだ。」

キッド・探・平次「す、数学・・・？」

イマイチピンと来ない３人。新一はさらに説明を続けた。

新一「ホラ、数学では円周率をπ、リットルをｌって表すだろ？つまりこれはｈが高さ、ｓが面積、ｖが体積を表してんだ。」

平次「ほぉ～ナルホドなぁ・・・・」

キッド「じゃあこの扉の高さと面積と体積の数値をつないで入力するのか？」

新一は首を横にふる。

新一「あのなぁ・・・・さっき言っただろ？解き方の一部は服部のやり方で合ってるって。これを踏まえたら解き方はすぐ分かったよ。」

新一はさらに説明を続ける。

新一「いいか？この内の高さ（ｈ）は英語のつづりが『ｈｅｉｇｈｔ』。
これをさっきの服部の推理と合わせるとｈが８番目、ｅが５番目、ｉが９番目、ｇが７番目、ｈが８番目、
ｔが２０番目だから『８５９７８２０』ってなる。だからこれがおそらく・・・・」

そう言って新一は『８５９７８２０』と入力した。
すると、ガコン！という大きな音がして、液晶パネルに『ロックヲカイジョシマシタ』という文字が表示された。

新一「これで俺の推理は終わりだ。」

３人とも、新一を見て唖然としていた。

平次「お前・・・・ようわかったなぁ・・・・数学なんていうヒントだけで・・・・」

新一「ああ・・・それは・・・・」

と、新一が何か言いかけた時に３人の背後から声がした。

？？？「平次～っっ！」

？？？「皆無事みたいね」

？？？「それどころかまだ入ってないみたいね」

新一「紅子さんと和葉さんと志保？！なんでここにっ・・・・」

和葉がにまっと笑って言った。

和葉「発信機を使うたんや。紅子ちゃんが新一君の持っていった犯人の写真の裏に発信機を付けといてくれたんや（＾＾）
おまけに盗聴器までついてんねんで～♪ホンマ紅子ちゃんって気が利くなあ」

紅子は少し笑ってから言った。

紅子「私はただ発信機と盗聴器を付けただけよ。お礼は発信機と盗聴器を作ってくれた宮野さんに言わなくちゃね」

紅子が志保に微笑む。志保も笑い返した。
新一が慌てて犯人の写真の裏を見る。すると、確かに小さな盗聴器と発信機が付いていた。
新一達のやられた！という顔を見て、紅子はくすっと笑った。

紅子「さぁ！そんな事より早く行かないと！蘭さんが危ないんでしょ？」

紅子の言葉で新一は我に帰った。

新一「あっ！そうだ。早くしねーと！」

そういうと新一は扉を開けて（というより蹴破って）中に入ると通路を走って行った。
扉は平次の目の前で閉まってしまった。

平次「あっ・・・こらっ！待たんかいっ！」

ところが、平次が扉を開けようとしても動かない。
もう一度パスワードを入力したが、液晶パネルには何も表示されなかった。

平次「しもた！一度開けて閉めると二度と開けられへん仕掛けになっとったんか！」

平次が取っ手を引っ張りながら言った。いくら引っ張っても開かない。

探「仕方ありません。こうなったら別の入り口を探しましょう！」

そう言って２人が裏にまわろうとしたが・・・・

和葉「あの・・・・キッドと紅子ちゃんと志保ちゃんの姿が見えへんのやけど・・・・・・」

探・平次「へ？」





―――屋敷の中―――

キッドも紅子も志保も、紅子の魔法でちゃっかり中に入っていた。

新一「ったく・・・・なんでお前達だけついて来んだよ・・・・」

新一はブツブツ文句を言っている。

キッド「まあいいじゃん♪」

新一「よくねえよ！！！！」

新一はキッドに向かって怒鳴った。
その様子を見て紅子が口をはさむ。

紅子「ひょっとして・・・工藤君、自分１人で蘭さんを助けたかったのかしら？」

新一「ぎくっ！！！！！！！！」

そしてさらに志保が突っ込む。

志保「っていうことは扉が一度開いて閉まったら二度と開かない仕掛けのことも分かってたのかしら？」

新一「ぎくぎくぎくっ！！！！！！！！！」

最後にキッドの一言。

キッド「まったく大人気ないですねぇ・・・・・・」

新一「・・・・・・・・・・・・・・・・」

新一は何も言えなかった。




しばらくすると、また１つの扉がでてきた。今度はパスワードを入力場所が二箇所ある。

キッド「なんだよ・・・またパスワードか？どうする新一。」

新一「分かってるくせに・・・・・（￢_￢）」

キッド「ハハハハ・・・・（汗）」

新一は間を置いて話し始めた。

新一「さっきのｈは出入り口のパスワードだった。ってことはｓとｖもパスワードの可能性が高い・・・
それにさっき言ってた数学の公式を表すものにｓとｖも含まれていることも含めると大体は分かるな。」

新一がパスワードを入力し始めた。

新一「え～っと、面積（ｓ）の英語のつづりは『ｓｑｕａｒｅ　ｍｅａｓｕｒｅ』だから・・・・
数字に直すと『１９１７２１１１８５１３５１１９２１１８５』・・・・
そして体積（ｖ）は『ｖｏｌｕｍｅ』だから『２２１５１２２１１３５』・・・・・・」

すると、ガコン！ガコン！と２回音がして、２つの液晶パネルに『ロックヲカイジョシマシタ』という文字が出た。

志保「２つもここに電子ロックがあるってことは・・・・・」

新一「ああ・・・おそらくここが奴の居る場所だ！」

そういうと新一は、その扉を勢いよく開けた。

新一が中に飛び込んだ。その後ろに３人が続く。
いきなり視界が開けた。
何もない、とても広い部屋・・・・いや、その部屋の中心に小さな机と鏡があり、机の横には新一達と同じくらいの歳の女性が立っている。



そして、その隣には蘭が立っていた・・・・・・





後編へ続く


☆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――☆

♪あとがき♪
どうも！みさきです。
前回までにくらべてずいぶん間開いてしまいました；スミマセンｍ（_　_）ｍ
おまけにこの章だけ前編・後編に分かれてるし・・・・（汗）
本当はもうすこし五章は短くなるはずだったんですが、最初に考えた暗号が意味不明になってしまい、
新たに暗号を考えると今度は話と合わせるのが難しくなって遅くなった上にこんなに長くなってしまいました；
ホント申し訳ありません；（ペコペコ）

それでは後編へどうぞ～（ぉぃ
 
☆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――☆

みさきさま
前後編諸説ありがとうございました！！
いよいよ蘭ちゃん救出に動いたみんなはこの先どうなるんでしょう～
続きはリンクから♪byあっきー

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