甘い事件の前夜祭 〜事件はここから始まった〜

平成16年 7月16日

夜の静かな公園に二人の大学生がいる。

一人は、日本警察の救世主と言われており、「平成のシャーロック・ホームズ」の異名をもつ工藤新一。
もう一人はその新一に一週間ほど前に告白され、彼の助手と恋人という二つの顔を持つ毛利蘭。

 二人は大学に通っていない。でも二人にはそれだけの理由がある。

新一は事件の依頼が多く、たとえ大学に通ったとしても事件で授業に出られなくなる、という結末になってしまう。
高校二年の時には、遊園地で謎の組織の取引現場を目撃し、口封じのため毒薬を飲まされて小学生に戻ってしまい、
一年間授業を受けられなくなる始末。もっとも、その組織の人間はとうに警察に捕まり新一も解毒剤が完成し、元の姿に戻っているが。

一方蘭は父親の毛利小五郎の仕事が新一の体が元に戻ったのと同時にガクンと減ったため、アルバイトをしなければいけなかったから。

毛利小五郎の仕事が減った訳はマンガを読んでる人たちには説明しなくても分かるだろう。


「新一!!!明日は目暮警部に呼び出されてるんだからさっさと帰って準備しなさいよ!!」

蘭が新一に言う。ごもっともなお言葉だ。


「うっせーな!!!だいたいオメー警視庁の刑事さん達の目の前で派手にコケてんじゃねーよ!」

全く関係ないことを言っている新一。


「そんなことどーでもいいでしょ!!!」

「俺が恥ずかしいだろ!!!」

「新一が恥ずかしがることないでしょ!!!」

「うっせー!!!だいたい蘭は・・・」

新一の声が止まる。近くに人の気配を感じた。

気配が近づいてくる。新一は蘭を守る体勢に入る。こういうさりげない行動には二人の仲が出ているようだ。

気配の正体は新一達と同じくらいの年の女性だった。女性が新一に話しかける。

「あら、驚かせてしまったかしら?」

こいつ、人の心でも読めんのか?と新一は思った。女性がまた口を開く。

「私の名前は小泉紅子(コイズミアカコ)。占い師よ。」

「「???????」」

新一と蘭はいきなり自己紹介されて一瞬頭の中が混乱した。最初に話かけたのは新一だった。

「占い師が、俺たちに何の用だ?」

紅子が微笑む。

「忠告しにきたのよ。貴方達に。」

「「???????????」」

余計に分からなくなる二人。何で見ず知らずの占い師に忠告されなきゃいけないんだ???



「『時の神が支配する夜に闇が訪れる時 神に心を囚われし天使が悪魔へと変わり 神の国は地獄と化すであろう・・・』これが私の予言。
これが本当に起こった時は、最後に狙われるのは貴方達。信じるか信じないかは、貴方達の勝手。それじゃあ・・・」


そのとたん。ものすごい風が起こった。
目も開けられないほどの風が・・・・渦巻く砂が・・・・二人を包んでいった・・・・。

 

 

 新一がはっと目を覚ました時には、もうその女性は、夜の闇に消えていた。

 


 

「どう思う?新一。」

と、蘭がたずねた。

今は十一時。二人は工藤邸に居た。ついさっき公園で起こった出来事を、二人はまだ鮮明に覚えている。

「何が?」

思いっきりとぼけてる新一。蘭が新一を見て真剣に言う。

「あの小泉紅子とかいう占い師の予言よ。嘘ならそれでおしまいだけど、新一には何か考えがあるんでしょ?」

蘭の言葉に新一が顔をあげる。

「何でわかんだよ。」

「何いってんのよ。顔に出てるじゃない。」

新一は少しためらっていたが、蘭に連続蹴りを入れられそうだったので話はじめた。

「普通に考えれば、あれは嘘だ。だけど・・・」

「だけど?」

新一は少し間を置いて、また話始める。

「もしあれが本当のことだとしたら、それはもうすぐそこに迫っている。」

新一は複雑な顔をした。事件が怖いような・・・それでいて楽しみなような・・・・複雑な顔。

「何で、すぐそこに迫ってるって言い切れるの?」

蘭が聞く。新一が説明する。


「まず、あの予言の出だしの部分だけど・・・『時の神が支配する夜に闇が訪れる時』。時の神は、クロノスっていう女神。
クロノスが支配する曜日は土曜日。つまり時の神は土曜日を意味してる。」

新一は説明を続ける。

「そして『闇が訪れる時』。闇は光が無い。っていう意味で、夜ってーのはキーワードになってるんだ。」

「キーワード?」

蘭の言葉に新一は頷く。

「夜、光る物っつたら月。月の光が無い日は新月。昔でいう朔の日だ。で、朔の日と土曜日が重なる一番早い日は・・・」

「明日の・・・平成16年 7月17日!?」

蘭が言う。新一はカレンダーを見る。

「しかも、目暮警部に呼び出されているのが丁度その日。その他の部分はよく分からないが・・・この予言、ただの寝言じゃないぜ。」

しばらくの間、二人は沈黙した。蘭が時計を見る。今の時刻は11時30分。

 

・・・・予言された日まで、あと30分・・・・・

 

 

―――― 甘いブラック・ラヴ に続く ―――――

 

 ♪あとがき♪

こんにちは。みさきです。

私の初めての小説なんですがいきなり新一と蘭はなんと占い師の職業に就いてる紅子に会っちゃった!会っちゃいました!!!!会ってしまいました!!!!!!!(←しつこい)

実はこれ、題名の通り、本編ではありません!まだ事件のほんの始まりの部分でっす!

目暮警部の依頼する事件。

予言。

男女関係。

そして紅子のような魔法使い。

これらが事件のキーワードです。

また、登場人物のほんっと〜に一部です。これからどんっどん出てきます。(しかし・・・最後まで書けるのか????)

まあどれくらいかかるかわかりませんが、ヨロシクお願いします。

                             byみさき

 みさきさま!
素敵な小説ありがとうございますー!!
今からちょっと未来の話しで大学生になった新一と蘭(それと紅子?!)が登場なんて嬉しいかぎり!
これからどんな事件が起きるのか凄く楽しみにしてます!登場人物はほんの一部?ということは彼も出てくるのかな?←誰!?(笑)
byあっきー

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