Salon de Ruby
から、素材を頂きました。


A storm is suddenly.
2章目 コナンの所で

 

ヴェノス「僕が…コナン君の?」

コナン「ああ、これ以上博士に迷惑かけたくねーし…。それと、君…つけないでいいよ。」

ヴェノス「分かった…けど、コナンの所だって…。」

コナン「俺のところなら心配ねーよ。行こうぜ。」

そして探偵事務所。ヴェノスを連れたコナンが帰ってきた。

ヴェノス「はじめまして。」

コナンが頼み込んだおかげで、ヴェノスはここにすむ事になった。

蘭「名前は…なんて言うの?」

ヴェノス「ヴェノス・ブルーセイム。えーっと、僕は…人工人間みたいなものなので、親が居ないで…。

博士に拾われて、コナンが…ここに住めと、紹介してくれた。」

蘭「人工人間…?」

ヴェノス「…クローン技術に似た形で作られた、望まれない生まれ子供…。別に気にはしていない。」

蘭「へえ…でも、人間は人間でしょう?良いよ、さて、ご飯ご飯。」

 

コナンの部屋…。

ヴェノス「彼女…ずいぶん強いな…。お前が姿を消して、もう何年になる?」

コナン「そうだな…2年…ちょっと?」

コナンはあやふやに答えた。

ヴェノス「そうか…。強いけど…追い込まれると弱いタイプか。」

コナン「おいおい。何で分かる…。」

すると、ヴェノスは蘭の体を探り始めた。黒子を捜しているらしい。

目を閉じて…しばらくすると。

ヴェノス「ふふふ…。ちなみに背中に美人な黒子があるな…。あと…太ももにもあるな。

うーん…後はそうだな、胸部分にも」

さすがにその部分は焦る。コナンは怒鳴った。

コナン「ああああ―――!!やめやめ!!!お前…人の体まで見るのか!!!」

ヴェノス「…減る物じゃないだろう?別にいいじゃないか。ちなみに首のところに虫刺されがあるな。」

コナン「だからやめろよ!!!」

蘭「ご飯できたよー。」

 

食事中。

蘭「二人とも、何の話をしていたの?」

ヴェノス「蘭さんの黒子を調べていたよ。」

ヴェノス以外は飲んでいたお茶や食べ物を噴出した。とても汚いです…。

蘭「え、ええええっ!!!」

ヴェノス「肩の所と太ももと胸のところにあるね。それに首に虫さされ…。あと…足の裏にもひとつ、あるよ。

あ、誤解しないように。コナンにやれと言われてやったまでだから。」

それこそ誤解である。まったく…。

蘭「え…え…?」

蘭はどうやら、恥ずかしさのあまり気を失いかけているようだ。

コナンは必死で助けようとしている。

ヴェノス「ご馳走様でした。あれ?皆さん、どうかしましたか?」

ヴェノスは茶碗類を魔法で片付けながらそう言った。

不自然な光景である。

ヴェノス「…では、僕は先に失礼します。」

 

コナンの部屋の窓に、ヴェノスは一人…。月を見ていた。

三日月は、ヴェノスの深紅の瞳を美しく照らし出した。

だが、その色は、冷たく…脆く、淡いようで、月そのものだった。

ヴェノスは目を瞑った…。すると、額が輝いた。

光がおさまり、見てみれば…ヴェノスの額には…。

月と、周りに美しく囲む姿が描かれる文様が出されている。

その瞳は、相変わらずの冷たい輝きだった。

ヴェノスは、病的な性格であり…優しさは悲しいほどの深さを持つ。

いわば今までは演技…。無理な演技、ヴェノスは疲れるらしい。

 

ヴェノス「月夜か…この暗さは、俺が一番落ち着く…。

我力、我本質…全てが癒されるようだ…。

…さて、どうしたものか…。そこにいるのは、コナンだな?」

ヴェノスは振り向かなかった。

コナン「ああ。」

ヴェノス「俺は…いったい、誰だ。」

コナン「…?」

ヴェノス「今でも分からない。俺は何のために作り出された…。実験か?モルモットか?それとも子供としてか?

分からない、俺が分かるのは…組織に作られた事だけだ。何のためだった…?

…組織の人間…いったい何人を血の底に追いやっただろう。気に障った者はみな、俺の魔力で…地獄追いやった。

自分の力が分からないから…自分が何なのかさえもわからないから、俺はそうだった。

もしかしたら、俺を殺し屋にしようとしていたのかも知れない。まぁ、俺は出来損ないの人間だ。

…組織にとっては、無駄な感情が入ってしまった。まぁ、俺はそれでいいのだが。」

ヴェノスはすっと息をしながら目を閉じた…。

ググッ…力強くあけたその目は、獣の目だった。ヴェノスは苛立ちを隠せない。

 

ヴェノス「気に食わない…。ああ…腹ただしい愚か者の軍団…。

必ず…我手で、組織を滅ぼしてやる…。愚か者への怒りの求道を…奴らに…。

あ、悪いな。…もう寝よう。」

 

二人は眠りに落ちた。同じ時、灰原は試作品の解毒剤を完成させた…。

 

 
続く

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