コナン&金田一final
漆黒のモレンド 第11章〜金田一編〜
作:Gahal様
そして午後6時40分
10分間休憩も終わり、ついに速水玲香がステージに姿を現した。
剣持たち、そして金田一に緊張が走る。
速水玲香はマイクを手に持ち、1曲目の歌を歌い始めた。

その頃…
明智は、展望レストランの見晴らしのいい席でコーヒーを飲んでいた。
この展望レストランは船の前方にあるので、窓からは進行方向が見えている。
右舷の遠くの方に町の灯りが見えている。
この船は、東京湾から太平洋に出たあと、本州に沿って名古屋沖まで行き、そこでUターンしてまた東京へ戻るルートを通る。
今右舷に見えている町は浜松か静岡あたりだろう。
明智は、コーヒーカップを置き、ちらりと腕時計に目をやった。
明智「そろそろ始まった頃ですね。そろそろ私も行きますか。」
コンサートホールへ行こうして立ち上がった明智。しかしそこに一人の女性が駆け寄ってきて声をかけてきた。
??「あ〜っやっぱり明智さんだ。」


そして1時間が経過した。
ステージにはいったん幕がおり、2度目の10分間休憩に突入した。
休憩時間が終わればいよいよ速水玲香&沖野ヨーコジョイントの第3部がスタートする。
第3部では2人が同時にステージに立ち、トークを交えながら、お互いのヒット曲や往年の名曲を歌うのだ。

そして第3部がスタートした。
2人が登場し、トークを開始する。そしてしばらくして1曲目の歌を歌い始めた。
速水玲香の「あきらめないわ」だ。

しばらくすると女性3人のバックダンサーがステージに登場した。
客席から見てステージの左奥にいるドラムもいい感じだ。

そして最後の1時間もあっという間に過ぎていった。
殺し屋はついに現れなかった。


午後8時
コンサートホールから出た金田一は、警備をしていた剣持と合流し、速水玲香の控え室へと向かった。

控え室では、速水玲香と沖野ヨーコが楽しそうに話していた。
それでも金田一が控え室に入ると、玲香はうれしそうに出迎えてくれた。
玲香「金田一君!!どうだった?今夜のステージ!!」
金田一「もう最高だったよ。玲香ちゃんも、ヨーコさんも」
ヨーコ「ありがとう。」

そこに、ある男がとんでもない勢いで飛び込んできた。
小五郎「ヨーコちゃん!!!」
毛利小五郎だった。
ヨーコ「毛利さん!!来て下さったんですね。」

小五郎とヨーコ、金田一と玲香が楽しそうに話しているのを横目で見ながら、剣持は
一人肩身の狭い思いをしていた。

そのとき
「おつかれ様です。」
と、元気な声で3人の女性が控え室に入ってきた。
それはステージで玲香たちの後ろにいたバックダンサーたちだ。
ステージを終えたあとの挨拶に来たのだが、控え室内の光景を見て固まってしまった3人。
一瞬の沈黙の後、3人の中の一人が口を開いた。
「す、すみません。また出直してきます。」
そして3人は足早に控え室から立ち去ろうとした。
玲香とヨーコはあわてて3人を止めようとする。

ようやく場が落ち着いたとき、まず口を開いたのは金田一だった。
金田一「あなた方は確か、バックダンサーの…」
「ええ」
「一條 彌瑠(みる)です。」
「二橋 絵理迦(ふたつばし えりか)です。」
「三枝 利巫(さえぐさ りみ)といいます。よろしく」

「おや?みんな集まってますね。」
そこにそう言ってやって来たのは、ステージでドラムを演奏していた男だった。
「玲香さんもヨーコさんもいいステージでしたよ。」
ヨーコ「畠山さん。おつかれさまです。」
金田一「畠山さん?」
畠山「先ほどのステージでドラムを演奏しておりました、畠山 戸螺夢です。よろしく」
そして畠山は玲香とヨーコの方に向き直り、言った。
畠山「お2人とも食事はまだですよね?よかったら緒に行きませんか?」

畠山に連れられ、玲香とヨーコは展望レストランに到着した。
畠山たち3人の他にバックダンサーの3人、それから金田一と剣持、おまけに小五郎まで一緒について来た。
料理はバイキングになっているため、各自好きな料理を取りに回る。
玲香「おなかすいた〜」(一応変装している)
ヨーコ「もうペコペコです。」(上に同じ)
金田一「おれもペコペコだよ。」(コンサート中、いつ玲香が襲われてもいいように、料理そっちのけで観察していた)
剣持「たらふく食うぞ」(コンサート中、周りを警備していたので、食事していない。)
小五郎「ついてきたものの…もう食えねえな」(コンサート中、たらふく食っていたのですでに満腹である。)


剣持「それにしても彼女が襲われなくてよかった。」
食事をしながら剣持が金田一に話しかけた。
金田一「ああ・・・」
しかし金田一の表情は曇ったままだった。

剣持「なんだ、うれしくないのか?」
金田一「いくらコンサートが終わったっていっても、航海はあと18時間つづくんだ。まだ安心はできないよ」
剣持「たしかに…残りの18時間の間、彼女がいつ狙われてもおかしくないが…」
ここで一度言葉を切り、たばこを一服したあと、再び剣持は話を続けた。

剣持「おまえは、その男がこの船に乗っているかもしれないというが、根拠はあるのか?」
金田一「根拠なんてないよ。でも奴が玲香ちゃんを狙っていることは確かだ。
それに1ヶ月前の米花ジョイシティでのコンサートから今回の船上パーティの間にコンサートはなかった。
もし奴が何らかの理由でコンサートだけを狙っているのなら、今回狙ってくる可能性がかなり高いと思うんだ。」
剣持「コンサートだけを狙っているって言うのか?」
金田一「だって変だろ。米花ジョイシティのコンサートから今日まで1ヵ月もあったんだ。普通ならその間に殺そうとするんじゃないか」
剣持「それもそうか。でも1ヵ月もの間なぜ奴さんは姿を現さんのだ?
比較的狙いやすい期間が1ヵ月間もあったのにそれを選ばず、あえて狙うのが困難になるコンサートだけを選ぶ理由なんて、
いったいどんな理由なんだ?」
金田一「・・・」
剣持の問いには答えず、金田一は考え込んでしまった。


「それって、襲ってこなかったんじゃなくて、襲ってこれなかったんじゃないんですか?」

そう答えたのは、ビデオを構えながら2人の間に割り込んでた人物だった。
その声を聞いた瞬間、金田一はまるで幽霊の声でも聞いたかのように驚き、飛び上がった。
それは、この場にいるはずのない、佐木竜二の声だったからだ。

金田一「さっ、佐木!!ななな何でお前がここにいるんだ!!」
佐木「もちろん金田一先輩を撮るためですよ。金田一先輩の助手として、金田一先輩の全てを記録することが僕の使命ですから。」
金田一「記録せんでいい!!それからその使命とやらも忘れちまえ!!」
佐木「そんなぁ〜」
金田一「そんなことより、船のチケットをもっていなかったおまえが、なんでこの船に乗ってるんだ?」
佐木「いや〜“豪華客船でいく優雅な旅”という船の紹介ビデオの仕事を父がやっているんですが、
その取材で急にこの船に乗ることになったっていうんで、僕も助手としてついてきたってわけなんです。」
確かに、レストラン内を佐木竜二の父、佐木蓮太郎が業務用の大きなビデオカメラを構えながら徘徊している。
佐木「では、まだ仕事があるので失礼しますね。仕事が終わった後で先輩の部屋に行きますね。」
ビデオを構えながらそう言い、佐木は父の元へと戻っていった。

佐木の姿が見えなくなったとたん、金田一は再びまじめな顔に戻り、剣持との話を再開した。
金田一「襲ってこれなかった。か・・・」
剣持「そうか!!奴はビルから転落して大けがをしたんだ。だからそのけがが治るまで動くことができなかったんだ。」
金田一「そいつは違うぜ。窓から転落した奴が着地したと思われる場所には、何かが転落した跡は全くなかったんだ。
つまり、奴はハンググライダーかアドバルーンかで空を飛んで逃げたってことになる。」
剣持「なるほど、奴は怪我をして動けなくなったわけじゃないってことか。」
金田一「ああ、何か理由があるはずなんだ…」

そして何事もなく夕食は終了し、全員それぞれ自分の客室へと戻っていった。


この客船の客室は全て洋室でシングル、ツインの2種類が用意されている。
さらに、全ての部屋に補助ベッドを入れることができ、最大1300人が乗ることができる。

その客室は全部で700室、7階建てで各階に100室ずつある。部屋番号は3桁の数字で437号室という具合である。
一桁目の数字は、その部屋がある階数を表しており、最上階が1、下の階になるほど2,3,4…と数が大きくなり、一番下の階が7となる。

そして各階には00号室から99号室まで存在し、この数字も舳先側から船尾側へいくほど大きくなる。たとえば、437号室は、
上から数えて4番目の階にある、舳先側から38番目の部屋ということになる。


ちなみに
金田一の部屋は340号室
佐木親子の部屋が708号室(ツイン)
毛利小五郎の部屋が365号室
剣持たち警察官の仮眠用の部屋が795〜799号室(全5室、ツイン)
明智の部屋が371号室
沖野ヨーコの部屋が100号室
速水玲香の部屋が101号室
一條 彌瑠の部屋が182号室
二橋 絵理迦の部屋が191号室
三枝 利巫の部屋が162号室
畠山 戸螺夢の部屋が161号室
である。

そして乗客が全員寝静まった頃(警察官は交代で速水玲香の部屋の見張りをしている)、殺し屋は拳銃を手に持ち、ある場所へと向かっていった。





3月11日(日)午前2時

コンコン…

畠山 戸螺夢は、ドアをノックする音で目を覚ました。
こんな夜中に誰だ?と思いながら、ドアののぞき穴から外をみる。そこにいたのは・・・

畠山「なんだ。君か・・・」
その人物が自分を尋ねてくる理由はただ一つ。畠山はその人物を部屋の中に通そうとした。
畠山「さ、入れよ」
その瞬間・・・

その人物は、いきなり畠山の顔にスプレーのようなものを吹きかけた。
畠山「な、何を・・・」
畠山の意識はどんどん遠のいていった。そして畠山はその場に倒れこんでしまった。

畠山を尋ねてきた人物はそれを確認し、ニッと笑いながらドアを閉めた。
そして・・・・




午前8時
金田一「ふわぁぁぁ〜っ」
大きなあくびをし、金田一は目を覚ました。
顔を洗い、服を着替え、金田一は朝食を食べるためレストランへ向かった。

レストランにはすでに速水玲香らが到着していた。しかし・・・
速水玲香、沖野ヨーコ、毛利小五郎、一條彌瑠、二橋絵理迦、三枝利巫の3人はいるのだが、畠山戸螺夢の姿がない。

金田一「どうかしたの?玲香ちゃん?」
玲香「金田一君!!」
金田一が声をかけると、玲香は金田一の名前を呼びながら駆け寄ってきた。

玲香「畠山さんが、起きてこないのよ」
金田一「畠山さんが?」
一條「畠山さんは、どんな日でも朝7時には起きて、みんなより早く集合場所に来てたわ」
二橋「ええ、畠山さんが時間に遅れるなんて今までなかったわ」
ヨーコ「だったらみんなで部屋まで迎えに行きましょうか?」


コンコン…

ヨーコ「畠山さん!!畠山さん!!」
返事はない。

金田一「様子がおかしい・・・」
小五郎「ドアを蹴破ろう!!」


ドォン…ドォン…バタン!!

小五郎と金田一がドアを破壊し、部屋の中に入った。
部屋の中には、うつぶせで背中から血を流した、畠山の死体が横たわっていた。

金田一・小五郎「は、畠山さん!!!!」
「きゃぁぁぁぁぁ・・・」


第12章(金田一編)へつづく
<第11章コナン編はこちら>
Gahal様のコナン&金田一final
あぁ!とうとう殺人事件が船上で行われてしまった金田一編!!!
金田一君がどんな推理をしてくれるのか楽しみなところです(あれ?毛利のおっちゃんは?)
いったい誰が犯人か・・・はたしてすでにキッドは乗りこんでいるのか・・・byあっきー

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