コナン&金田一final
漆黒のモレンド 第12章〜コナン編〜
作:Gahal様
ズドォォーン!

銃弾は発射されてしまった。
そしてその直後、病院玄関前から耳をつんざくような悲鳴が響き渡った。

キャーーーーッ!!

それは惨劇を目の当たりにした女性看護師の悲鳴だった。
そして恐怖は病院の正面玄関付近にいる人全体に広がっていった。

「救急車、早く救急車を!!」
「って、ここ病院の前だろ!!はやく中で治療を」
「だめだ・・・もう死んでる」


ニュース「たった今、犯人の男が、何者かによって銃撃されました。銃弾は頭部に命中し、男は即死した模様です。」
ニュース映像は、ちょうど病院前の大混乱状態を映していた。
人質救出のため何とか太った男と守の所に近づこうとする警官たちと、銃撃の恐怖から何とか逃げ出そうとする野次馬たちが
病院の正面玄関前で押し合いになり、団子状態になっている。
そのため、太った男と守の姿は一切映らなくなっていた。


平次「おい、あいつ銃を引っ込めよったで。」
観覧車を見上げながら平次が言った。確かに、男は、ライフルを観覧車の中に引っ込め、分解し始めたようだ。

コナン「ど、どういうことだ。守を狙ってたんじゃなかったのか?」
平次「一発だけ撃ってすぐ銃を引っ込めよったんや。観覧車の上からでもニュースの声は聞こえてるやろうから、
どうやら最初からあの太った男を撃つつもりやったみたいやな。」
コナン(でもなぜあの太った男を撃ったんだ?守を助けるためか?いや、違う。奴は俺と守をベンツでひき殺そうとしたんだ。
奴に守を助ける気なんて…)

そのとき、ニュースの映像の中に、観覧車の上にいる男と一緒にベンツに乗っていた5010の姿が一瞬映し出された。
人混みの中、あまりにも短い一瞬だったため、それに気づいた人はほとんどいなかったが、コナンだけはその女の姿をすぐに発見することが出来た。
コナン「あ、あの女は…」


次に5010がニュース映像に姿を現したとき、その腕には、守が抱えられていた。
そして回りにいる警官達に気づかれることなく、病院前に止まっている車(太った男が要求したもの)に乗り込んだ。



5010は運転席に乗り込み、ドアをして、エンジンキーを回し、そしてアクセルを思いっきり踏んだ。
車は走り始めた。が、5010は発進してすぐ急ブレーキをふみ、それと同時に思い切りハンドルを右に切った。
車はキーッという音を立てながら右を向いて横滑りを始める。
そして右(車の正面)に狭い路地が現れた瞬間、5010は再びアクセルを踏み込んだ。
車は猛スピードでその路地へと突っ込んで行った。そしてあっという間にニュース映像の中から消えてしまった。



その映像を見終わったコナンはすぐに
コナン「俺はあの女を追う。お前はその男を頼む!!」
平次「ちょー待て!!スケボーも持ってきてへんのにどうやって追うんや?」
コナン「大丈夫、ちゃんと考えてある。とにかくその男を頼むぞ。」
平次「お、おう!!」
コナンはそういい残した後、犯人追跡メガネを作動させ、米花ジョイシティの外へと走っていった。


トゥルルルルル…


コナンは走りながら携帯で電話をかけていた。


ガチャッ


電話をかけた相手が受話器を取った。
阿笠「はい、こちら阿笠…」
コナン「博士!!ちょっと頼みたいことがあるんだ。」


コナンを見送った後、平次は動かなくなった観覧車をずっと見上げ続けていた。
ちょうど天辺に止まっている観覧車では男がスナイパーライフルを分解し、ガンケースに片づけはじめていた。



このときになってやっと、ジョイシティのスタッフが観覧車の修理のためにやってきた。
しかし損傷がかなり激しく、復旧するまでかなり時間がかかるらしい。
そんな様子を横目にみながら平次は思った。
平次(さあ、どうする?修理が終わるまで待ってたら警察に捕まるで。それまでにどうやってそこから脱出するつもりなんや?)

ガシャーン!

平次「あっ!!」
男はいきなり観覧車の窓を破りゴンドラの屋根に出た。そして、骨格部を伝い、するすると下りてくる。
そして観覧車の輪の中心まで降りたとき、今度は支柱を伝ってスルスルと地上へと降りていった。

平次「逃がさへんで!!」
平次は、男が降りてくる支柱の根元に到着した。
男を待ちかまえる平次。

しかし、男は空中で体をくねらせ、平次の後ろに回ったと同時に平次の首の後ろをガンケースで思いっきり殴った。
悲鳴を上げる暇もなく、平次は気絶させられ、その場に倒れ込んでしまった。
そして男は見事に米花ジョイシティから逃亡を果たすのだった。






その頃…

元太「すぐに守を追おうぜ!!」
歩美「でもコナン君が…」
元太「コナンなんかほっとけよ、あいついっつも抜け駆けすんだからよ」
歩美「でも、やっぱりコナン君が一緒の方がいいもん。」
光彦「それにコナン君の犯人追跡眼鏡がないと守君の居場所も分からないですし…」
元太「そりゃあ…そうだけどよ…」


そのとき、病院の前に警視庁の目暮と高木と千葉が到着した。
目暮「それじゃ、すぐに聞き込みに回ってくれ」
高木・千葉「はい」
千葉刑事は、病院関係者に事情を聞くため、病院内へ、高木刑事は病院の外にいた野次馬達に話を聞くため、病院の外へと出てきた。

歩美「高木刑事!!」
目暮達と別れた高木の姿を見つけ、歩美・光彦・元太の3人は、高木の元へ駆けていった。
高木「き、君たち!!どうしてこんなところに?」
光彦「僕たち、守君とは友達なんです。」
高木「そうだったのか…」
この時点ではまだ撃たれた男の素性すら判明していなかったのだが、人質の男の子が守だと言うことは、すでに高木の耳にも入っていた。
そして、太った男が射殺され、守が謎の女に連れ去られたということも…

歩美「守君、どうなっちゃうの?」
高木「大丈夫、僕たちが必ず助け出してあげるから…」
元太「俺たちも探すぞ!!」
光彦「そうです。僕たち探偵団なんですから!!」
歩美「歩美がんばる」
元太「そうだ高木刑事!!パトカーに乗せてくれよ!!」
高木「い、いきなり何を言い出すんだよ。」
光彦「パトカーで、守くんを連れ去った車を追いかけるんです。」
高木「ダメだよ。危ないから…」
光彦「なんでですかー」
その後も歩美・光彦・元太の3人は強硬にパトカーで(自分たちも一緒に乗って)追いかけてくれるよう頼みつづけたのだが、
健闘もむなしく、その後すぐ迎えに来た阿笠によって強制帰宅させられたのだった。(灰原も一緒に帰宅した)






ベンツの男「待たせたな。」
5010「いいえ、私も到着したところよ。」
2人が落ち合ったのは、寂れた工場跡にある廃ビルの屋上だった。

ベンツの男「そうか。で、ガキはどうした?」
5010「あそこにいるわ。」
そう言いながら、5010は屋上に転がっている守を指さした。

ベンツの男「3281も片づけた。そのガキを殺せば、もう薬はつくれない。」
5010「ええ」
ベンツの男「あとは東京支部の2208を始末し、本部の場所を見つけだして潰すだけだ。」
5010「そうね。」
ベンツの男「それじゃあ、ガキを始末するとしよう…」
そう言いながらベンツの男はゆっくりと守に近づいていった。

歩きながら右手に革のグローブをはめている。
どうやら、手で口を塞いで窒息死させるようだ。

ベンツの男「銃が使えないのがやっかいだ。」
5010「血を遺させないためよ。地面にしみこんだ血液であの薬がつくれるかどうかは分らないけど、用心にこしたことは無いでしょ。」
ベンツの男「分ってるさ」
そしてベンツの男は守の口に手をかけようとした。


カコーン!


突然、どこからともなく飛んできた空き缶(スチール缶)が男の手に命中した。男の手は守から遠ざかった。


カーン!

5010「キャッ」
今度は5010の肩に空き缶(アルミ缶)が命中した。


ベンツの男「だ、誰だ!!」
5010とベンツの男は、2つの缶が飛んできた方向に向かってそう叫んだ。
そこは、屋上へ上がってくる階段だった。

コツコツ…

足音がゆっくりと上がってくる。
その足音が屋上まで上がったとき、初めてその姿が5010とベンツの男の目に映った。
それはコナンの姿だった。
脇にスケボーを抱え、右足のキック力増強シューズは作動している。
まっすぐ5010とベンツの男の方を向いて立ち、ニッと笑いながら言った。
コナン「江戸川コナン、探偵さ!」


ベンツの男「お前は…確か米花ジョイシティで撃ち殺したはずだが。」
コナン「ああ。あのときの弾なら、運良くベルトのバックルで止まってくれたよ。」
ベンツの男「なるほど。ではもうひとつ聞かせてもらおう。子どもの足でどうやって車に追いつけた?」
コナン「フッ」
コナンは軽く笑った後、ここに到着するまでの出来事をゆっくりと思い出していた。





  ――――コナンの回想――――
トゥルルルルル…

コナンは走りながら携帯で電話をかけていた。

ガチャッ

電話をかけた相手が受話器を取った。
阿笠「はい、こちら阿笠…」
コナン「博士!!ちょっと頼みたいことがあるんだ。」
阿笠「何じゃ?」
コナン「今すぐスケボーを持って俺のところまで来て欲しいんだ。予備の犯人追跡メガネで分るだろ?俺のいるところが。
だけど俺の探偵団バッチは守に渡してあるから、ボタン型発信器の方を追ってきてくれ。」
そう言いながらコナンは自分の服のボタンに貼り付けてある発信器の枚数を数えた。
コナン「発信器は7枚あるから、発信器の点が7つ集まってるところが俺の位置だ。」
阿笠「あ、ああ…分った。すぐ行くから待っとれ。」


そしてコナンは、阿笠の到着を待ちつつ、自分の犯人追跡メガネで守を追って行った。
やがて阿笠がコナンの元に到着した。

阿笠がワーゲンの窓を開け、コナンがそこからのぞき込んで話を始めた。

阿笠「ほれ、スケボーじゃ。言われたとおり持ってきてやったぞ。」
運転席の窓からコナンにスケボーを渡す阿笠。

コナン「サンキュー博士。」
受け取ったスケボーを地面に置き、コナンはそれに乗った。そして今度は腰に巻いているボール射出ベルトを外し、それを阿笠に渡した。

コナン「このベルト、壊れたみたいだから直しといてくれない?」
阿笠「ああ、ええぞ」
何気なくそう返事した阿笠だったが、受け取ったベルトのバックルに銃弾が撃ち込まれているのを見て表情が変わった。

阿笠「こ、これは?」
あわてて止めようとしたのだが、コナンはすでにスケボーで走り出した後だった。

コナン「それから、歩美達を迎えに行ってやってよ。」
阿笠「ちょ、ちょっと待つんじゃ新一!!」
しかし止めるまもなく、コナンはもう走り去ってしまったのだった。


そして阿笠は歩美達のところへと向かい、コナンは5010の追跡を再開したのだった。

  ――――回想ここまで――――




コナン「教えられねえな…そんなことより、そろそろ守を返してもらおうか。」
そう言いながらコナンはスケボーを地面におき、そして発進させた。

ベンツの男は、すぐ守を捕まえようとした。が、コナンが男めがけてスケボーごと飛びかかった方が一瞬速かった。
男の体は、コナンともつれながら、守がいる場所から5メートル離れた場所まで吹っ飛んでいってしまった。
ベンツの男「このガキ!!」

ドガッ

今度はコナンが男に吹っ飛ばされた。
間髪入れず、男はコナンの体を踏みつけようとした。

コナンは空き缶(さきほど2人に向かって蹴ったもの)を再びベンツの男に向かって蹴った。
男の体は吹っ飛び、今度は5010をも巻き込んで倒れてしまった。

最後にコナンは、時計型麻酔銃の針を男に撃ち込もうとした。
麻酔銃は男めがけて発射した。

パシュッ!!

そのときだった、男は横に倒れている5010の体をぐいとひきよせ、盾にした。
針は5010の首に命中した。
5010「ど、どうして…」
そう言いながら5010は眠っていった。



コナン「仲間を盾にしただと?」
ベンツの男「それがどうした。」
男は、コナンが蹴った2つの空き缶を拾い、それをビルの外へと投げ捨てた。

空き缶を捨てられたため、もう蹴る物がなくなった。麻酔針も撃ってしまったためもう使えない。
ベンツの男「調子に乗るなよ!!」

ドゴァッ

男はコナンを思いきり蹴飛ばした。
コナンは吹っ飛び、うずくまってしまった。(しかしこのとき、コナンは男の体に発信器を仕掛けることに成功していた。)
ベンツの男「残念だったな。」
男は守の首に手をかけた。

コナン「くそっ」
コナンは、全身の痛みでまだ起きあがることも出来ない。
もう男を止めることが出来なかった。
その様子を見て、男はニッと笑い、そして両手に力を込め始めた。

「たぁぁぁっ!!」
いきなり何者かが男と守の間に割って入ってきた。

「好きにはさせへんで!!」
ベンツの男「何!?」
やってきたのは服部平次だった。右手に竹刀を持っている。

ベンツの男「チッ!!」
不利だと判断したのか、男は竹刀を何とか避けながら、隣のビルの屋上へと飛び越え、逃げていってしまった。

平次「大丈夫か工藤?」
男が逃げていったのを確認し、平次はコナンの元へ駆け寄った。

コナン「あ、ああ。それにしても…なんでここが分ったんだ?」
平次「ああ。病院の前で阿笠博士に会うてな。このメガネを借りて、ここまで来てやったっちゅうわけや。」
そう言いながら平次は、犯人追跡メガネのスペアを取り出していた。

コナン「サンキュー服部。おかげで助かったぜ。」




というわけで、コナンたちはどうにか守を取り返すことが出来たのだった。

まもなく5010は逮捕され、守は病院へと運ばれていった。
集中治療室に運び込まれ、すでに2時間が経過した。
一旦は家に帰ったが、結局阿笠の車で再び病院に戻ってきた歩美達。

守を病院まで連れてきたコナンと平次。
守がいた施設の人。
それから高木刑事が集中治療室の前で待っていた。

そこへ、
集中治療室から医師が出てきた。

「どうなんですか?守くんの具合は?」
医師「守くんは…」






その頃、買い物に出かけた蘭・和葉・園子は…
園子「ねえ蘭、今日はやけにパトカーが多いと思わない?」
蘭「そうね。」
守を連れて逃げた5010の車を追うために、東京中のパトカーが総動員されていたのだ。

3人は買い物に夢中だったため、太った男が守と人質に立てこもったのがTV中継されていたことにも気づいていなかった。


そのとき、どこかで見たことがある2人が近くを歩いているのを、偶然に和葉が発見した。
和葉「なあ蘭ちゃん。あそこにいる2人って…」
そう言って和葉が指さした先には…


フミ「全く、ハジメの奴!!」
美雪「一人で豪華客船に乗りに行くなんて!!」


蘭「美雪ちゃん!!フミちゃん!!」
蘭に声をかけられ、美雪たちも初めて蘭たちの存在に気が付いた。

美雪「蘭ちゃん!!和葉ちゃん!!」
フミ「蘭おねえさん!!和葉おねえさん!!」
蘭「偶然ね。こんなところで会えるなんて」
和葉「ホンマや。」
園子「ねえ、誰?その2人?」
(美雪、フミ、蘭、和葉の出会いについては、狙われた名探偵、第3の予告状 参照)

蘭「そっか。園子は会ってなかったんだね。」
そして自己紹介から始まり、女性5人によるおしゃべりが始まった。
美雪「ねえ聞いてよ。はじめちゃんったら…」
蘭「その船なら私のお父さんも乗ってるわよ…」



集中治療室前では、医師がやっとその重たい口を開いた。
医師「守くんは…大量の麻酔剤を嗅がされ続けられていたらしく、かなり危険な状態です。」

そして守の意識が回復しないまま、夜が明けてしまった。


3月11日(日)午前5時
コナンは、まだ誰も目覚めていない時間に起きだし、服を着替え顔を洗った。
そして犯人追跡メガネを作動させ、毛利探偵事務所をそっと抜け出した。
前日仕込んだ発信器で、ベンツの男を追跡するために…


第13章(コナン編)へつづく
<第12章金田一編はこちら>
ぬああーっむちゃくちゃ危険な状態の守君。そしていよいよ合流したコナン側から蘭と和葉達、金田一君側からフミちゃんと美雪ちゃん!
それにこっそり追跡を開始したコナン・・・
この先いったいどうなるのか気になるとこです!しかもあの方がやっと登場・・・のはず(ぇ)
はい。イラスト描く準備してますので続きお待ちしてますからっっ(><)/←なぬbyあっきー

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