コナン&金田一final
漆黒のモレンド 第15章
作:Gahal様
ベンツの男はすぐに電話を切ってしまった。

目暮「逆探知は?」
佐藤「成功しました。」
目暮「それで?どこからかけてきたんだ?」
佐藤「それが…ジョイシティ前交番なんです。」
目暮「何だと?」

目暮はすぐさま、米花警察署に設置された捜査本部にいる松本警視に連絡した。
数分間続いた目暮と松本のやり取りが終わったのを見計らい、佐藤は目暮に尋ねた。

佐藤「警部…松本管理官は何と?」
目暮「高木君がジョイシティ前交番を調べに行くそうだ。それから白鳥君が5010の取り調べをやっとるらしい。
人質をどうするかについてはこれから会議で決めるそうだ。」
高木刑事も白鳥警部も米花警察署の捜査本部に行っていた。

佐藤「そうですか。」
目暮「私は犯人からの電話を受けるため、ここに残らなければならない。人質交換を行う場所や時間、方法などを知らせてくるだろうからな。
君はすぐ捜査本部へ行ってくれ。それから、コナン君のことを毛利君に連絡してやってくれ。」
佐藤「分かりました。」

それからすぐ捜査一課を出た佐藤は、携帯で毛利探偵事務所に電話をかけながら駐車場へと向かった。
しかし何度かけても誰も電話に出なかったため、あとで時間をあけてから電話することにし、車で米花警察署へと向かっていった。




その頃、コナンが探偵事務所からいなくなっていることに気づいた蘭、平次、和葉は、3人で手分けして心当たりを探し回っていた。
そのため毛利探偵事務所には誰もおらず、佐藤の電話が通じなかったのである。

平次は、蘭たちと別れた後、まっすぐ阿笠博士の家へ向かった。
そして再び犯人追跡メガネのスペアを借り、発信器の位置を頼りに追跡を開始しようとしたのだが、
発信器の点が7つ集まってるところは無くなっていた。(12章コナン編参照)

コナンが持っていたボタン型/シール型発信器は全てベンツの男に踏みつぶされていたのだ。


画面上に残っているのは、発信器の位置をを示す点が4つだけ。
この4つの点は全てが一カ所に集まっているわけではなく、3つの集まりと、1つに別れていた。

コナンのバッチはまだ守が持っているので、1つだけ別れている方は守の位置だろう。
そのことは阿笠博士も知っていたので、すぐ平次にも伝えられた。

そして残り3つの点は少年探偵団の歩美、光彦、元太のバッジだ。
平次が来るよりも前に3人が灰原を誘いに来たが、灰原が断ったので3人だけで何処かへ行ってしまったのをこれも阿笠博士が目撃していた。
灰原は3人の誘いを断るために玄関に出てきた後、ずっと地下室にこもっているらしい。


平次はとりあえずバッチを持っている探偵団と守の所をたずねてみることにした。
平次「工藤の奴が一緒におるかもしれんやろ?」
そういって平次は阿笠の家をあとにした。



和葉は、米花町の地理に詳しくなかったため、あまり広い範囲を回ることは出来なかった。
それでも帝丹小学校と帝丹高校を探したがコナンを見つけることは出来なかった。




そして…
蘭「コナン君、コナン君…」
コナンの名前を呼び、辺りをキョロキョロ見回しながら米花町内を探し尽くした蘭が最後にたどり着いたのは米花不動総合病院だった。
心あたりの場所はすべて探した。

あとはもうこの病院だけ…。

でも、もしここにもいなかったら…。

頭によぎったそんな不安を振り払いながら、蘭はエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターは上昇を開始し、やがて守の病室がある階に停止した。


が、蘭が乗っているエレベーターの扉が開いたちょうどその時、すぐ隣にあるもう1機のエレベーターに歩美、光彦、元太が乗り込み、扉が閉まった。

歩美「お見舞い…できなかったね。」
元太「ったく、千葉刑事さえ邪魔しなきゃ守の部屋に入れたのによ。」
光彦「いや、千葉刑事がいなくても、お見舞いは出来ませんでしたよ。守君が面会謝絶なんですから。」
どうやら、守が面会謝絶のため、お見舞いできずに戻ってきたらしい。歩美と光彦の表情は暗い。
しかし元太は何がなんだか分からないような表情をしていた。

元太「はぁ?守が宴会中だったら何でお見舞いしちゃいけないんだよ?」
光彦「宴会中じゃなくて面会謝絶です。」
元太「宴会じゃなかったのか。」

3人がそんな会話をしている間にもエレベーターは下降を続け、1階まで下りていった。

隣のエレベーターで探偵団が降りていったことに蘭は気づかなかった。また、少年探偵団3人も蘭のことに気づくことはなかった。


蘭は廊下をまっすぐ守の病室へ早歩きで向かっていった。(病院の廊下を走ることは出来ない。)
まっすぐといっても廊下はL字に曲がっており、エレベーターを下りたところから守の病室は見えない。
角を曲がり、やっと守の病室が見えた。その病室の前には、少年探偵団の3人を追い返したばかりの千葉刑事が立っていた。

千葉刑事は、病室へと向かってくる蘭に気づき、ひどく驚いた顔をして、蘭に話しかけてきた。
千葉「ら、蘭さん?」

そして蘭の返事も待たず、通信機で米花警察署の捜査本部に連絡を入れた。
千葉「松本警視、毛利蘭さんを発見しました。」


その頃、歩美、光彦、元太の3人は、米花不動総合病院からちょうど外に出たところだった。
元太「なあ、このあとどうする?」
歩美「どうしようか?」
光彦「僕たち3人だけで遊びますか?」
元太「そうだな。全くコナンはいねえし、灰原も来ねえし…で、何すんだ?」
光彦「…そうですね。じゃあジョイシティで遊びますか?」
元太・歩美「賛成!!」
光彦「それじゃあ行きましょう!!」
そして3人はそのまま米花ジョイシティの中へと入っていった。



平次「おっ、近いぞ。」
スペアの犯人追跡メガネをかけ、歩美、光彦、元太の発信器の点を追っている平次だが、3人への距離がだいぶ短くなってきていた。
しかし、3人の位置も動いているため、なかなか3人に追いつくことは出来なかった。

やがて平次は米花ジョイシティの前に到着した。犯人追跡メガネによると3人は米花ジョイシティの中にいるらしい。

平次も3人を追って、ジョイシティの中に入ろうとした。
が、そのとき、何者かが平次に近づいてくる気配を感じた。

その人物はコツコツとヒールの音を響かせながらゆっくり歩いて近づいてきた。
平次はゆっくりと振り返った。

平次「あ、あんたは…」
その人物は立ち止まり、にっこり笑いながら話しかけてきた。

鈴子「久しぶりね、平次君」
それは平次が大阪城公園で知り合った女性、池羽鈴子だった。

平次「あ、ああ…久しぶりやな。」
鈴子「あら、そのメガネ…」
鈴子は、平次がかけている犯人追跡メガネのスペア、それもレンズに発信器の画面が表示されているものを指して言った。

平次「え?」
鈴子「今朝、それと同じメガネをした子に会ったわよ。確か1年生くらいの男の子だったわ。ジョイシティ前交番に入っていったけど…」
平次「ジョイシティ前交番!?」
鈴子「ええ。」
それを聞くと平次は交番に向かって走っていった。

平次「おおきに!!」
鈴子「ちょっと平次君!?」
が、平次はすでに走り去った後だった。


コナン「ん・・・」
ジョイシティ前交番の奥の部屋の中で、コナンが目を覚ました。

ベンツの男はいないようだ。そして無意識に体を動かそうとした。が、動くことは出来ず、体に痛みが走った。
コナン(なんだ?)
コナンの体は机の脚の一つにロープで拘束されていた。猿ぐつわもされているらしく声も出せなかった。

そして何気なく周りを見渡したコナンの目にとんでもない物が飛び込んできた。
コナン(爆弾!!)
爆弾は交番の隅々にまで仕掛けられていた。ドアや窓を開けると爆発する仕掛けになっているようだ。


平次は、ジョイシティ前交番へ向かって走っている途中だった。

もう少しで到着、というところで1台の車が交番の前に急停止するのが見えた。
よく見るとそれは覆面パトカーだった。
パトカーから降りたのは高木刑事だった。

松本警視の指令で交番の様子を見に来たところだったのだ。
平次「高木ハン!!」
平次は高木の所へ駆け寄っていった。

高木「は、服部君!?どうしてこんなところに!?」
平次「毛利ハンとこのボウズを探してんのや。この交番に入ったのを見たってゆう人がおってな。高木ハンは?」
高木「実は…」
高木は警視庁にかかってきた電話について平次に説明した。

平次「まさか、そんな事になっとたやなんて…」
高木から聞いた事実に平次は動揺を隠せなかった。


平次「(工藤…)そうや、交番の中は調べはったんか?」
高木「いや、まだだよ。」
2人は窓から交番の中をのぞき込んだ。

コナンは奥の部屋に監禁されているので、見えなかった。
が、部屋中に仕掛けられている爆弾は見えた。

平次「これは…ひょっとしたら大変なことになるで!!」
高木「でも、幸いコナン君はいないようだし」
平次「いや、まだそうとは言い切れへんで。」
高木「え?」
平次「まだ奥の部屋見てへんやろ。」
高木「ああ、そうだね」
2人は交番の横にまわり、小さな窓から再び中をのぞき込んだ。

中にはコナンがいた。体をロープで机の脚に括り付けられ、猿ぐつわもされているようだ。
ロープを緩めようともがいているようだが緩まないようだ。

高木「す、すぐに助け出さないと。」
正面に戻って、中に入ろうとする高木を平次が止めた。

平次「アカン!」
高木「ど、どうして?」
平次「窓から確認したところでは、この爆弾、窓やドアを開けたら爆発するようになってるみたいや。」
高木「そ、そんな…大変じゃないか!!」





一方、蘭は米花不動総合病院から米花警察署に移動していた。千葉刑事から連絡を受けた捜査本部の刑事が病院まで蘭を迎えに来たのだ。
そして蘭も刑事からコナンの事を聞かされ、ショックを受けていた。

蘭「コナン君…」
蘭は呆然としながら警察署内の食堂で遅い昼食をとっていた。
尤も、ほとんど喉を通らず、3口ほど食べただけで残してしまったが…

和葉「蘭ちゃん!!」
蘭「和葉ちゃん、どうしてここに!?」
和葉「コナン君を捜して街を歩いてる時に佐藤刑事に会ってな、連れてきてもらったん。大変な事になってしもたな。」
蘭「うん。」


蘭たちが食堂で話している間にも、捜査本部は慌ただしく動いていた。
まず、目暮が本庁から捜査本部に移動していた。警視庁に電話がかかっても、それを捜査本部に転送する準備が整ったからだ。
そして佐藤や他の刑事たちが録音や逆探知の準備を進めていた。

そこに高木刑事からの連絡が入った。

高木「江戸川コナン君を発見しました。」
捜査本部の刑事たちは、最初それを明るいニュースだと思ったのだが、高木の次の言葉で、それが大きな間違いだとすぐに気づくのだった。


高木「交番には爆弾が仕掛けられています。江戸川コナン君は交番の中に監禁されていますが、窓やドアを開けると仕掛けられた爆弾が爆発するようになっているらしく、
救出することが出来ません。至急、爆発物処理班の出動を要請します。」

そして、その爆発物処理班の手配も尾終わらないうちに、ベンツの男からの電話もかかってきてしまったのだ。


ベンツの男「今から30分以内に米花不動総合病院にいるすべての警察官を退去させろ。
もし病院内に1人でも警官が残っていたり、俺を逮捕しようなどと考えた場合は、米花ジョイシティ前交番を爆破する。」




16章へつづく

<Gahal様のあとがき>
ようやく、15章が完成いたしました。
掲示板には17章で完結と書きましたが、この小説は18章で完結となります。
17章として予定している分があまりにも長すぎるため、2つに分けることにしました。
そういえばこの小説を書き始めてからもう1年半以上経ってるんですね。長いな〜
そして、コナンや金田一の原作からの登場キャラも今回登場した白鳥警部・松本警視で40人を突破いたしました。
これまでの最多である狙われた名探偵の32人を大きく上回りました。
さらに、あと2人登場する予定です。
Gahal様小説ありがとうございました!!
40人突破・・・そんなにたくさんの人が登場してたとは気づかなかった・・・
でも確かにまじっく快斗キャラと金田一キャラとコナンキャラを考えると・・・うーーんすごい
後二人登場?誰だろう・・・・ そして個人的に平次が動き回ってるのは気持ちいい〜(何故!)←待て
走れ!新一を早く助けてくれーっと願いつつキッドの登場を凄く楽しみに待ってます←あんた;byあっきー

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