コナン&金田一final
漆黒のモレンド 第8章〜和葉編〜
作:Gahal様


2月14日(水)午前5時40分

遠山和葉は、行方不明になった平次を探すため、東京へ出発するところだった。
服を着替え髪をまとめ顔を洗い、昨夜のうちに用意してあった荷物をまとめて自分の部屋をそっと出た。
まだ眠っている家族を起こさないように極力音を立てずに。

何とか家を抜け出すことができた和葉は、いそいで駅へ向かった。
まだ朝食を食べていなかったので、駅の売店でパンを買い、それを食べながら電車を待った。
電車がくるまでにパンをジュースで流し込み、和葉は関西国際空港へと向かった。

大阪から東京へ向かう乗り物の中で、一番早く大阪を出発するものは午前6時10分発の新幹線のぞみだったが、
東京駅着が8時40分なので、6時50分の関空発−羽田行のJAL(羽田着7時45分)の方がわずかに早いのである。
(ちなみに羽田から東京駅まで35分ぐらいかかる。)

和葉は関空から飛行機に乗り、東京(羽田)へと飛び立った。

飛行機が水平飛行に入り、落ち着いたところで和葉は持ってきた荷物をあらためて確認した。
カバンの中には、東京行きのためにおろした貯金を入れた財布とたくさんのお守り、携帯電話、コンパクトなどが入っている。
さらに泊まる予定ではないが、念のために入れてきた着替えが1着分。
さらに、東京行きの始発便などを調べるために買った時刻表も入っている。

最後にもうひとつ、とある包みが入っていた。
それは手のひらサイズのハート型をしており、水色に白の水玉の包装紙で包まれ、かわいいピンクのリボンで結んである。
和葉は、平次が無事でいてくれさえすれば、それでいいと思っていた。しかし、できることならコレも渡したい。
そのために(12日の夜に)徹夜して作ったものだった。

和葉「平次…」



その後7時45分に羽田に着いた和葉は電車に乗り換え、9時に米花駅に到着した。

和葉は迷わず毛利探偵事務所に向かった。東京で平次が行きそうな場所の中で一番確率が高い、もし居なくても、
名探偵の毛利小五郎に探してもらうことができるだろう、小五郎さんならかならず平次を見つけてくれる…そう思ったからである。

しかし…
毛利探偵事務所には誰もいなかった。コナンと蘭は学校に行ってるのだろうが、小五郎までいない。
和葉「いはらへんな〜。事件で出かけてはるんやろか?」
実際には麻雀しに行っただけなのだが…

和葉「待ってたら帰って来はるやろか…」
だが1時間待っても小五郎は帰ってこない。しかたなく和葉は待つのを諦めることにした。

和葉「どないしよ…」
予定がくるっていまい途方にくれる和葉、しかしそのとき和葉はあることを思いついた。
和葉「そうや…」


午前11時30分頃
帝丹高校

そのとき、ちょうど3時間目の真っ最中だった。
毛利蘭は、まじめに授業を受けながらもちらちらと教室の中にあるたった一つの空席の方に目を向けることがあった。
その空席は、たまたま風邪で休んだ生徒の席、というわけではなかった。
その座席は彼女の幼なじみである工藤新一の席なのだ。

蘭(新一は今、どこにいるんだろう。事件の方は大変なのかな?)

また、蘭の席が窓際にあるため、ボーっと校庭を眺めることもあった。
そんな感じで授業中に何度か意識をそらすのである。
ただし、意識がそれすぎて先生に注意されることもあるのだが…

この日も蘭は校庭を見ながら、新一のことを考えていた。
しかし、蘭の目に入ってきたのは新一ではなく、遠山和葉の姿だった。
蘭「和葉ちゃん?」

3時間目が終わり、10分間の休憩時間に入ったとき、蘭と園子は大急ぎで校庭へと走っていた。
そこには、遠山和葉が待っていた。
蘭「やっぱり、和葉ちゃん。」
園子「でもどうしてここに?学校サボったの?」
和葉「実は…」
和葉は、平次が5日前から行方不明になっていることを説明した。

蘭「服部君が?」
和葉「うん…」
蘭「それで和葉ちゃん、東京まで探しに来たんだ…」
和葉「うん…」
蘭「和葉ちゃん…よし、それなら学校が終わってからになるけど、私も手伝ってあげる。」
和葉「本当?ありがとう、蘭ちゃん。」
園子「でも、それまでの間、一体どうするの?」
蘭「探偵事務所にお父さんがいるはずだから頼んでみて」
和葉「ここに来る前に探偵事務所によってんけど、おじさん、いはらへんかったよ。」
蘭「うそ!」
(きっと麻雀だわ。も〜お父さんたら〜!!!)

蘭「そうだ、コナン君よ。」
園子・和葉「コナン君?」
蘭「ええ、今日コナン君、4時間授業で給食を食べたら帰れるって言ってたの。きっとコナン君なら手伝ってくれると思うわ。
ほらコナン君、服部君と仲良かったし。」
和葉「そうやなあ、でも私、コナン君の小学校わからへんよ。」
蘭「大丈夫。帝丹小学校までの地図をかいてあげるから。」
そういって蘭は小学校までの地図を、生徒手帳の無地でミシン目が入っているページにかき始めた。が…

園子「ちょっと待った蘭!!」
蘭「何、園子?」
園子「…その地図、間違ってるわよ」
持ち前の方向音痴が地図にまで発揮された瞬間だった。

蘭「・・・・」
園子「貸して、私がかいてあげる。」

1分ほどで園子は地図を書き上げ、ミシン目から紙をちぎってそれを和葉に渡した。
その後、4限目開始のチャイムが鳴ったので蘭と園子はあわてて教室へ走っていった。



午後1時

帝丹小学校からは、1年生がちらほらと帰りだしていた。
遠山和葉は、コンビニで買ったサンドイッチを無理やり食べ終わり、コナンが出てくるのを待った。
しばらくして、コナンが歩美・光彦・元太・灰原と一緒に校舎から出てきた。
和葉は5人を呼びとめ、平次のことを話した。

コナン「え〜っ、平次兄ちゃんが!?」
驚くコナン。
元太「平次って、このあいだ京都であったあの色黒の兄ちゃんだよな。」
光彦「そうですよ。あのときの人です。」

コナン「わかった。僕も探すの手伝ってあげるよ。」
元太「オレも」
歩美「わたしも」
光彦「ぼくもです。」
灰原も一応同意した。
だが捜索開始は、荷物を置きに一旦家に荷物を置きに帰ってからということになった。
それぞれの家に帰るため6人は別れた。(和葉はコナンと一緒に毛利探偵事務所へ)

そして米花駅前に6人が集まった。
コナン「もし平次兄ちゃんが米花町に来たとすれば、まずこの駅に来たと思うんだ。」
駅員さんに聞いたところ、平次を見かけたらしい。
さらにその後の聞き込みにより米花不動総合病院へ行ったらしいことが判った。

そして、コナンたち6人が米花不動総合病院に到着したのは午後2時を回ったころだった。

和葉「でも何で平次が病院なんかに来たんやろ?」
コナン「多分はじめ兄ちゃんに会いに来たんだと思うんだけど…」
和葉「はじめって…金田一君?」
コナン「うん。」

6人は、金田一が入院していた病室へといったが、そこでは看護師さんがベッドのシーツをはずしていた。
聞いたところ、金田一は今朝早く退院したらしい。


6人は、せっかく来たのだからと、守の病室へ行くことにした。

「早くよくなるといいね。」
「ああ…」
守の病室には先客が2人いた。高校生らしい男女だった。

コナンたち6人が病室に入ると、男のほうがなぜかあわてて病室を出ようとした。
「さ、さあ、そろそろ帰ろうぜ。青子」
そういいながらあわてて出て行こうとする男。
(な、なんであのボウズが来るんだよ。)

青子「ちょっと待ってよ快斗。もうちょっといいじゃない。」
しかし、快斗は青子がとめるのも聞かず、さっさと病室から離れてしまった。
青子「待ってよ〜」
青子もそのまま行ってしまった。

ようやく青子が快斗においついたのは、エレベーターの中だった。
エレベーターは1階へと降りていく。
快斗(まさかあのボウズが来るとは…でもアイツがいるなら守の身はひとまず安心ってことか。なら俺はその間に奴らを…)


2人が出て行ったあとの病室では…
光彦「なんだったんですか、さっきの人たちは?」
コナン「さ、さあ…(でも、どっかで見たことあるような…)」

その後コナンたちは平次を探すため、米花ジョイシティの事件現場にも行き、さらに警視庁まで足を伸ばしてみた。
その後、学校帰りに直行した蘭・園子と米花駅でおちあい、5時ごろまで必死に探した。

やはり平次は見つからなかった。

少年探偵団や園子たちと別れ、コナン・蘭・和葉の3人は毛利探偵事務所へと歩いていった。
途中、自動販売機であったかいお茶を買い、飲みながら歩いていた。ただし和葉だけはそれを飲まずにカバンにしまっていた。
和葉「平次…こんなに探しても見つからへんやなんて…」
蘭「…大丈夫、きっと見つかるよ。」

そして、3人が毛利探偵事務所に到着すると…
その玄関先に、気持ちよさそうに眠っている平次がいた。

和葉「平次ぃ!!!!!」
平次「か、和葉?ど、どうしてここに?」
和葉「あんたを探しに来たんや!!5日も家空けるなんて、も〜みんなどんだけ心配した思てんの?」
平次「す、すまん、そやかてこっちもいろいろあったんや。」
和葉「ま、ええわ。あんたのおっちゃんとおばちゃんにミッチリ説教してもらわなな、さ、帰るで」
そいういって、和葉はぐいっと平次の襟首をつかみ、びっぱって帰っていった。
平次「ちょ、ちょっと待て、俺はまだ用事が…あ〜」

そして2人の姿は見えなくなった。
コナン「よ、よかったね。平次兄ちゃん見つかって…」
蘭「そ、そだね。」
そして2人は家に入っていった。





帰りの飛行機の中…

飛行機は水平飛行に入り、シートベルトのサインも消えた。
やっと落ち着いた和葉は、座席の上の荷物入れから自分のカバンを取り出した。
カバンの中からアレを取り出すためだ。手のひらサイズのハート型をしており、水色に白の水玉の包装紙で包まれ、
かわいいピンクのリボンで結んであるもの。それは、平次に渡すためのバレンタインチョコレートだった。

カバンの中からチョコレートのいいにおいがする。いや、しすぎている。
和葉(おかしいな、いくらなんでもここまでにおうわけないんやけど…)
カバンの中をよく調べてみて、和葉は愕然とした。
あったかいお茶をカバンに入れてしまったため、チョコレートが溶けてしまったのだ。
溶けたチョコレートは包装紙からもはみ出し、入れてきた着替えにまでベットリついてしまっている。
包装紙の中のチョコレートはもう原型を留めていなかった。

和葉(あかん、こんなの渡されへん…)
しかしその匂いはとなりの平次にも届いていた。
平次「お、チョコレートか、そういや今日はバレンタインやったな。俺の分のチョコは?な、和葉ちゃん?」
ニコニコ笑顔でたずねる平次。しかし、和葉はガバッとカバンを隠し言い放った。

和葉「あ、あかん、これはあんたの分やない。あんたには帰ってからあげるから…甘口?中辛?それとも辛口のほうがええか?」
平次「そうやな…俺は中辛…って、それカレールウやろ?」
和葉「うん」
ニッコリ笑顔で答える和葉
平次「な…なんやとー!!」

その後、帰宅した和葉は、台無しになってしまった本命チョコの代わりに、しかたなく、1日遅れでほかの男子に渡すつもりだった義理チョコをひとつ平次に渡したのだった。




2月15日午前0時

毛利探偵事務所では、小五郎、蘭の2人はすでに眠りについていた。
コナンはというと、布団に入りはしていたが、電気スタンドをつけ、好きな推理小説を読んでいた。
そのとき、窓の外がうっすらと明るくなった。しかしそんなことは車が通ったりすればよくあることなので、いつも気にしなかった。
しかし、今日に限って暗くならない。おまけに、その窓の外には誰かのシルエットが映っていた。

シルクハットとマント…
その影にすぐコナンは気がついた。

コナン(この影は…)
コナンは横で眠っている小五郎を起こさないように窓に近づき、カーテンを開けた。
するとその人影は音もなくすばやく地上に降り立った。



それは紛れもなく怪盗キッドの姿だった。



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きゃぁぁぁぁぁっキッド様ぁぁ←落ち着け!!(爆)
あぁぁっイラスト書きたい!!←あんた・・;(またアップ遅れるくせに;)
平次編から読むととても判りやすくなってました〜(和葉の心境とか)
そしてさりげなくお見舞いに来ていた快斗と青子(平次編で登場した繋がりが明かになったぁヽ(´ー` )ノ)
この先の展開が楽しみです!気になるキャラも出てきたしv
ありがとうございますGahal様!byあっきー

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