コナン&金田一final
漆黒のモレンド 第10章〜金田一編〜
作:Gahal様
3月10日(土)午前1時

速水玲香と沖野ヨーコの船上パーティが行われる豪華船の出航まであと8時間30分をとなった。
その船が停泊している港に一人の男が姿を現した。
彼は、米花ジョイシティでの速水玲香のコンサートで速水玲香を殺そうとした男、多くの人を殺した男、
そして守と金田一を撃った男である。
今後、この男を仮に“殺し屋”と呼ぶことにする。

殺し屋はあたりに誰もいないことを確かめ、船に近づく
そして殺し屋は船を眺めながら1ヶ月前のことを思い出した。

米花ジョイシティのコンサートホールで行われた速水玲香のコンサート、それは殺し屋にとって始めての失敗だった。
しかも失敗は2つ。一つはもちろんターゲットである速水玲香を殺し損ねたことである。
ウサ晴らしに会場の外にいた連中を殺したが、そのときエレベーターに乗っていたガキを一人撃った。
まさかそれが神崎守(こうざきまもる)だとは思わなかったのだ。
何とか一命は取り留めたようだが、もう少しで組織にとって必要な“血液”を失うところだった。(奇術師の死闘15章参照)
それが2つ目の失敗だ。

殺し屋は、あのとき殺せなかった速水玲香を今度こそ殺すつもりなのだ。

だが、その後、組織一の情報屋からの電話により、速水玲香と沖野ヨーコの船上パーティのことが分かったのだ。(漆黒のモレンド9章参照)

殺し屋が次に思い出したのは、殺しの依頼者をしてきた女からの電話だった。
その電話があったのは、2月14日の11時55分頃だった。電話を切ったときちょうど日付が変わったのを憶えている。


―――電話の回想―――
女「ちょっと何やってるのよ。あの女(速水玲香)まだ生きてるじゃないの。」
殺し屋「ちょっと邪魔が入っちまった。だが3月10日の船上パーティで必ず仕留める。」
女「たのんだわよ。今度失敗したら振り込んだ暗殺料、全額返してもらうからね。」
殺し屋「…肝に銘じておこう」
――――ここまで―――

かってなこと言いやがって、おまえの妙な注文さえなけりゃ、とっくに殺せてるんだ。
そう心の中で思いながらも決意を新たにし、仕事の舞台となるまだ誰も乗っていない客船を見上げる殺し屋だった。


午前9時30分
東京湾のとある港に停泊されている一艘の豪華客船に多くの人が乗り込んでいく。
沖野ヨーコと速水玲香の船上パーティに出席するためだ。
“沖野ヨーコと速水玲香の”とは言っても、2人が乗客の前に現れるのは10日の夕食時の約3時間のジョイントコンサートの間だけなのだが…

その船に、金田一一、毛利小五郎も乗り込み、午前10時、予定通りに出航した。

船が出航してすぐ、金田一は速水玲香の控え室を訪ねた。
金田一「玲香ちゃん」
玲香「金田一君!!来てくれたのね」
金田一「ああ」
玲香「金田一君、ケガ大丈夫なの?」
金田一「ああ、もう大丈夫。玲香ちゃんは?」
玲香「ええ、私は平気」
金田一「そう、よかった。」

そのころ小五郎は、沖野ヨーコの部屋を探して船中を走り回っていた。
小五郎「ヨーコちゃ〜ん、どこ〜」

玲香「ねえ、わたしまた狙われるの?」
金田一「そ、それは…」
玲香「私、ステージに立ちたくない!!」
金田一「玲香ちゃん…大丈夫さ、この俺が絶対に玲香ちゃんを守ってみせるよ。ジッちゃんの名にかけて!!」
玲香「だから立ちたくないの…」
金田一「え?」
玲香「もう金田一君に危ない目にあってほしくないの。」
金田一「玲香ちゃん…でも…」
そのとき、2人の後ろから、声が聞こえてきた。
「大丈夫ですよ。」
金田一「え?」
それは、警視庁捜査一課警視・明智健悟の声だった。
金田一「明智さん」
明智「コンサートには私服警官が張り込んでますから。」

玲香が落ち着いたところで2人は玲香の部屋をあとにした。
そのあと2人は下調べのため、コンサートホールに向かった。

金田一「いや〜まさか明智さんがこの船に乗ってるなんて…」
明智「君の方こそ…この船のチケットが君の小遣いで買えるとは思えませんけど…」
金田一「…ほっとけ!!それにしても、わざわざ明智さんが捜査の指揮を執るなんて、どういう風の吹き回し?」
明智はすでに警視であるので、現場で指揮を執る事はまれなのである。
明智「私は休暇ですよ。指揮を執っているのは…ほら、あそこにいますよ。」

明智が指さした先には、これまた見慣れた顔が…


剣持「あ、明智警視!!それに金田一も!!」
金田一「オッサン!!オッサンが警備の指揮を執るんだ?」
剣持「ああ。そういえば明智警視、今日は休暇だったのでは?」
明智「休暇だから豪華客船に乗っているんですよ。」
金田一「でもいくら休暇だからって明智さんがアイドルのパーティに来るなんて…」
すると明智はクックッ…と肩をふるわせて笑った。
明智「この船の定員は1200人ですが、パーティのチケットとして売られていたのは500人分だけですよ。
つまりあとの700人は一般の乗客が乗っているんです。」
金田一「なんだって?じゃあ明智さんも一般のチケットで?」
明智「ええ」
金田一「そうか…じゃあ、あの男も一般の客として乗ってくるかもしれないってことか…」


小五郎「ヨーコちゃ〜ん」
小五郎はまだ走り回っていた。






そして時間はあっという間に過ぎ、午後5時になり、コンサートホールが開場になった。
開演は午後5時30分である。

小五郎「はあ、結局ヨーコちゃんに会えなかった…」
すでに指定されたテーブルに着き、開演を待つ小五郎たち。
このコンサートはディナーショーにもなっているため、客席はテーブルといすになっているのだ。
アイドル歌手のコンサートなので観客は圧倒的に男が多い。
45分頃に金田一も入場し、剣持ら警視庁の警官たちの厳重な警備のもとコンサートがスタートした。
このコンサートは3部構成で、最初の1時間は沖野ヨーコが歌い、次の1時間は速水玲香、
そして最後の1時間には沖野ヨーコと速水玲香が2人一緒に歌うことになっていた。

沖野ヨーコがステージに立った。
ワァァァ・・・・・・・
小五郎「ヨーコちゃん!!!」
ワァァァ・・・・・・・

この時間はまだ料理が出ていないので、観客たちは全員ステージにかじりついている。そのためか、特に大きな歓声がこだました。
それでも音楽がなり始めると歓声は徐々に小さくなっていく。
中には歌手が歌い始めてもワーワー言っているやつもいるが…

あっという間に1時間がたった。時間は午後6時30分。
ここから10分間の休憩になる。
その間に客席のテーブルに料理が着々と並べられていく。

そして午後6時40分
10分間休憩も終わり、ついに速水玲香がステージに姿を現した。
剣持たち、そして金田一に緊張が走る。
速水玲香はマイクを手に持ち、1曲目の歌を歌い始めた。


第11章(金田一編)へつづく
<第10章コナン編はこちら>
<Gahal様のあとがき>
金田一編は金田一をメインとした、船上パーティでの攻防戦となります。
金田一キャラがメインになりますが、コナンキャラも少し登場します。(怪盗キッドも登場しますよ)
13章でまたコナン編と合流し、一つの物語に戻る予定です。

そして、いつの間にか名探偵コナンキャラと金田一少年の事件簿キャラの総計が30人近くになっていました。
今後もまだ何人か登場予定なので、ひょっとしたら狙われた名探偵(総計33人)をも上回るかもしれません。
Gahal様のコナン&金田一final
うわぁっものすごいいいところで終わってる・・・;;;;
総計30人近くも出てたの??でもそんな感じがしないのはやはりストーリー構成のなせる技でしょうか・・。
だんだん引きこまれて行きますほんとに。
船上が「金田一少年の事件簿」側のキャラが多いということはキッドとの直接対決も金田一君?
キッドの華麗なショーが益々楽しみになってきましたv←だからどっちの味方なんだ!(笑)byあっきー

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